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課題山積のイオン新体制 GMS改革やデジタル対応がカギに

 創業50周年を迎えた翌年に、23年ぶりの社長交代を決めたイオン。競争激化やデジタル化などの経営課題が山積する中、岡田元也社長はグループ最高経営責任者(CEO)に留まりながら、吉田昭夫新社長との2トップ体制で厳しい経営環境に立ち向かう。だが専門店の台頭などで、柱となる総合スーパー(GMS)事業の立て直しはめどが立っておらず、新体制は次の50年に向けた厳しいかじ取りを迫られている。

 「長期的な変化を見通して決断することなどにたけている。想定外にも勇猛果敢に対処する強いイオンを作ってほしい」

 会見で岡田氏は吉田氏をこう持ち上げ、イオンモール社長としてみせた手腕が、グループ全体の業績改善につながるとの期待をこめた。

 背景にあるのはデジタル化の進展など、市場環境がかつてないスピードで変化していることへの危機感だ。「イオンも大きくなりリスクを取らずにチャンスを逃すことがあった」。こう振り返る岡田氏の言葉からは、難局を乗り切るために不可欠な社長交代であるとの決意がにじむ。

 ただ新体制の課題は山積している。少子高齢化により、国内需要の縮小が今後避けられないことに加え、多数の品ぞろえを誇る専門店やインターネット通信販売との競争も激化。日本チェーンストア協会によると、平成30年のスーパー売上高は既存店ベースで3年連続の前年割れ。対するネット通販の国内市場規模は拡大を続ける。

 こうした中、主力事業のGMS事業は今後も苦戦が見込まれる。イオンは31年2月期連結決算で本業のもうけを示す営業利益が過去最高を更新したが、GMS事業の営業益は横ばい。インテリア雑貨の展開などで収益力の向上を図っているが、最適解はまだ見えていないのが実情だ。

 デジタル化への対応も急務。10月の中間決算会見で岡田氏は「イオンは時代に対応して変われているかというと遅れている」と事業変革に取り組む姿勢を見せていた。吉田氏は「優秀な人材を集めて強みをどうデジタルで表現するかだ」と表情を引き締めた。(佐久間修志)

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