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百貨店、「店舗体験」を前面 誘客強化でネット通販へ反撃

 インターネット通信販売が存在感を高める中、百貨店大手がリアル店舗へと消費者を引き付ける戦略に本腰を入れ始めた。都市部の一等地に店を構える強みも生かし、店舗ならではの体験価値を高める。ネット通販に物足りなさを感じる客層を狙う野心的な取り組みも出てきた。

 回転スイーツ

 「世の中が自動的、AI(人工知能)化される中、一つぐらいは自分の感覚で楽しんでもらえるようなものを作りたかった」。今月下旬から始まるバレンタイン商戦に向けて高島屋の担当者が企画したのは、大型店舗に設置する回転すし風の自作パフェレーンだ。

 レーンで流れてくるフルーツやアイスクリームなどを来店客が選んでオリジナルパフェを作る。監修した辻口博啓氏は「友人たちと会場に来て、リフレッシュして帰ってほしい」とわくわく感を強調する。

 令和最初の初売りでもキーワードは店舗体験だ。松屋銀座(東京都中央区)は2日、一風変わった福袋を販売。その名も「招福部屋」で、部屋内の5000~2万円の値札がついた商品を3万円分組み合わせ、自分だけの組み合わせを作る。値札価格は福袋用に設定されたもので、組み合わせ次第では10万円相当になる。

 入室できるのは1度に5組までで、ゆっくり品定めできるのも強みだ。福島市から来店した40歳代の女性会社員は「こういう福袋は松屋だけなので来てみたかった」と話した。

 若年層へ新アプリ

 日本百貨店協会によると、2014年に約6兆2000億円あった全国百貨店の総売上高は18年に5兆9000億円を割り込んだ。専門店に押されるほか、ネット通販も存在感を高める。経済産業省によると、日本国内のネット通販の市場規模は約18兆円と5年間で7兆円近く拡大。店舗で商品を物色して、購入はネットという買い方も広がる。

 この流れに待ったをかける動きも始まった。

 三越伊勢丹では三越や伊勢丹などでばらばらだったスマホアプリを今春までに統合。新アプリでは楽天やアマゾンでは掲載されないアパレルブランドの商品情報がみられ、自宅に居ながら百貨店の店員とチャットができる機能も搭載する。

 従来のネット通販は商品の細かな情報が分からないことも多いが、「妥協して買うのが実情」(三越伊勢丹MD統括部の近藤詔太部門長)だったが、新アプリでは店員が商品を見ながら相談に応じる。消費者が疑問点を解消できれば、商品を取り置いた上で、来店することもできる。

 三越伊勢丹は、ネット通販を多用する若者などを取り込むツールとしても期待しており、令和3年度までに品目数を伊勢丹新宿店の売れ筋を網羅する約20万品目まで拡大する計画だ。(佐久間修志)

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