ジェーンズ・ディフェンス・ウオッチ

幕開ける“自動戦闘”時代(上) 無人大群化の技術開発 各国で進展

 空中空母構想 発射無人機回収し戦闘復帰

 武装部隊が敵に対し戦術的に優位に立つ方法を模索する中、ドローンなどを大規模に展開して部隊支援を行う「無人スウォーミング(大群化)」と呼ばれる新戦術をめぐる技術開発が各国で着々と進められている。最新動向を2回にわたりリポートする。

 ドローンが部隊支援

 武装部隊が敵を圧倒するための先進自動技術を模索するなか、陸海空からの無人スウォーミング作戦の実行能力が進歩し続けている。しかし、こうした技術はまだ開発途上であり、主に空中における自動戦闘フォーメーションを支援しているのが現状で、戦場では直接、影響を与えることはなさそうだ。

 空中、地上、水上、水中の自動プラットフォームのスウォーム作戦行動には、こうした技術が比較的初期段階にあるにもかかわらず、それでもなお世界中の軍に大幅な作戦的かつ資金的要求を突きつけている。

 例えば前英国防長官のギャビン・ウィリアムソン氏は昨年、英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の講演で「敵の空中防衛を混乱させ圧倒する能力を有するネットワーク接続機能搭載ドローンのスウォーム戦隊の開発任務を負っている」と語り、2019年末までに配備の準備が整うと述べていた。詳細は明らかにしていない。

 米全軍の特殊作戦部隊を指揮する「特殊作戦軍」の固定翼担当計画副司令官、メリッサ・ジョンソン大佐も、フロリダ州で開かれた特殊作戦軍・産業会議でこうした意見に同調。「共通任務への複数の無人空中システムの取り組みは有事の特殊利用、将来構想に向けた特殊作戦軍のロードマップには不可欠だ」と述べた。

 同大佐や特殊作戦軍指揮官らの説明によると、スウォーミング技術が紛争環境に配備された特殊作戦部隊の「戦術的情報認知」と呼ばれるモニタリングを支援する可能性がある。特殊作戦軍の構想は部隊に「次世代情報認知(NGIA)」と呼ばれる機能を提供する。この構想は業務計画執行官特殊作戦部隊と学術機関SOFWERXで調査が進められている。特徴は敵地で従来の諜報能力を補完するためのスタンドオフ型生体認証と技術センサー、先進データアーキテクチャーと分析統合したものだ。

 6年以内の配備計画

 特殊作戦軍の情報筋によると、垂直離着陸(VTOL)無人航空機システムのスウォームによる次世代情報認知構想支援をはじめ、前方位置から無人機を配備して視覚、音声、電磁偵察任務を実行させ、それにより高度に訓練された特殊作戦部隊のオペレーターを危険地帯の外に維持する作戦などさまざまな作戦について学術機関SPFWERXで調査が進められている。特殊作戦軍の関係者はジェーンズに対し、6年以内に配備できるスウォーミング無人機システムを設計するため企業などの共同体を構築したいとしている。

 スウォーミングの作戦への採用はNGIA構想より早く始まる可能性がある。米政府当局は既に、関連技術活用を目的とした複数の計画を推進している。米国防高等研究計画局(DARPA)の「攻撃的スウォーム対応戦術(OFFSET)」、米空軍の「戦術的非機載感知(TOBS)」、米海軍の「低コスト無人機スウォーミング技術(LOCUST)」などだ。

 TOBS構想は、自動航空技術の開発会社エリアI(ジョージア州)製の航空機精密攻撃パッケージ支援の空中発射式管統合型無人システム(ALTIUS)の発射が可能なAC130J航空機「ゴーストライダー」をベースにしたものだ。

 米空軍はジェーンズに対しTOBSの詳細を明らかにしなかったが、業界筋によるとその計画はALTIUS無人機システムに搭載の一連のデータリンクを特徴としており、これによりゴーストライダーの搭載兵器に指示を与え航空機の発射制御支援を行う。TOBS構想により、ゴーストライダーは悪天候下でもターゲットとの交戦が可能になるという。

 LOCUSTは「情報収集、監視、目標捕捉、偵察(ISTAR)」任務支援を目的とした米防衛大手レイセオン製固定翼無人機「コヨーテ」最大30機の協調運用に重点を置いている。マサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した「パーディクス(ヤマウズラ)」無人機システムもLOCUSTの代替プラットフォームとして検討されている。

 DARPAはOFFSET計画支援のための最新デモンストレーションを終了した。OFFSETは最大250の無人機の同時作戦を支援し、無人車両(UGV)のメッシュネットワークへの統合を特徴とするものとみられる。

 フロリダ州フォート・ベニングで実施されたデモンストレーションは6回計画されている演習の2回目で、情報収集や偵察を実行する無人航空機とUGVが連携を目指した。米防衛大手ロッキード・マーチンと米ソフト開発会社チャールズリバー・アナリティクスはOFFSET計画向けシステムを設計する。DARPAの資料によると、この取り組みは無人機の複雑かつ集団的挙動の特定も狙いとしている。

 紛争環境で作戦可能

 DARPAは“空中空母構想”とも呼ばれる「グレムリン計画」を進めている。C130輸送機から複数の「グレムリン航空機」を発射し、回収する。計画の主要請負業者である航空宇宙・防衛大手ダイネティクスは19年末までの開発第3段階が順調に進行していると説明。グレムリン計画で「紛争環境での分散空挺作戦」が可能になり、無人機の一部は空中回収と再利用が可能という。

 ダイネティクスによると、「グレムリン無人機は敵軍防衛の範囲外で既存の軍用機から発射される。グレムリンが任務を完了すると、C130輸送機が空中でグレムリンを回収して作戦基地まで輸送、グレムリンはそこで素早く修理調整され、また戦闘に戻る」という。

 この計画はシエラ・ネバダ・コーポレーション、エアボーン・システムズ、アプライド・システムズ・エンジニアリング、クッタ・テクノロジーズ、ムーグ・システィマ・テクノロジーズ、ウィリアムズ・インターナショナル、クラトス・アンマンド・エアリアル・システムズの支援を受けている。(IHSマークイット軍事アナリスト アンドリュー・ホワイト)

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