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警備・通訳・料理…半世紀超え受け継ぐ「おもてなしの心」 2020で更なる高みへ (1/2ページ)

 【TOKYOが変える未来(4)】

 「巡回警備中です」「patrolling」

 昨年11月下旬、羽田空港第1ターミナル(東京都大田区)で、警備ロボットが日本語と英語で交互にアナウンスしながら館内を巡回していた。

 2020年東京五輪・パラリンピックを念頭に置いた実証実験。警備ロボットは内蔵のセンサーで利用客を避けながら走り、ゴミ箱の前で停止。金属探知機などが搭載されたアームが伸びてライトが点滅する。駆けつけた係員がゴミ箱から不審な袋を見つけた…。

 1964(昭和39)年の前回東京五輪では、警察当局のほか民間警備会社から約100人を選手村の警備要員として動員するなど、多くの人数で、厳しい警備体制を敷いたが、あれから50年。“人海戦術”だけに頼る時代は終わり、AI(人工知能)を利用した最新技術が五輪を守る。

 警備だけではない。音声情報をスマートフォン端末に文字や絵で表示する新技術「SoundUD」の活用が検討されている。アプリをダウンロードすると、競技施設の案内や災害情報などが6カ国語に翻訳され、文字情報として提供される仕組みだ。

 「外国人を目にすること自体が珍しかった。英文学を学ぶ大学生らの口づてで、通訳を集めました」

 64年11月、東京で開かれた第13回国際ストーク・マンデビル競技大会。五輪の翌月に行われ、「東京パラリンピック」とも呼ばれたこの大会で、日本赤十字社の「通訳奉仕団」の一員として活動した神奈川県鎌倉市の主婦、稲田睦子(76)はこう振り返った。

 奉仕団には大学生ら156人が入団。大会の約10カ月前から駐留米軍の妻を講師に迎えて英語の勉強会を開くなどしてレベルアップを図った。日本にとって64年は、多様な外国人を一度に受け入れる初の機会。稲田は「快適に、楽しんで過ごしてもらいたい」という一心だった。

 現代のように、AIを利用した音声の翻訳ソフトもない時代。それでも稲田たちは外国から来る人たちに、日本を楽しんでもらおうと、心を砕いた。

 「日本の豊かな食材、日本の食文化のすばらしさも発信したい」

 2020年大会に向け、メニューアドバイザリー委員会の座長を務めた帝国ホテル特別料理顧問の田中健一郎(69)は語る。東京五輪に並々ならぬ思いを抱いている。

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