2020 成長への展望

住友商事社長・兵頭誠之さん(60)

 ■5G網構築強化 ヘルスケアなど支援

 --アジア経済をどうみる

 「米中貿易摩擦の影響で、中国からベトナムに生産移管するなど実際にモノの流れが変わっている。ただ、短期的な動きだけでなく、経済発展の波にどう乗るかの発想が大事だ。ベトナム首都ハノイ北部のスマートシティー開発もスタートし、ハノイ近郊の工業団地も増設する」

 --2018年度からの中期経営計画で次世代収益育成を打ち出した

 「『テクノロジー×イノベーション』『ヘルスケア』『社会インフラ』を掲げた。例えば、北欧3カ国の好立地にある約37万台の駐車場運営会社に出資した。環境意識の高い北欧で車の保有から利用へと社会が変化する中で、カーシェアリングなど関連サービスを提供する拠点として育成したい。トヨタグループと定額制で新車に乗ることができるサービス『KINTO』も開始した」

 --デジタル化で有望なプラットフォーム事業は

 「グループのジュピターテレコム(JCOM)は、約550万世帯の顧客を持つ。ケーブルテレビのインフラを使い電力やガスを提供しており、ヘルスケアなど総合生活サービスを提供したい。昨年、自宅のテレビ画面を使って、医師が遠隔で慢性疾患の患者を診療し、健康管理や服薬指導をする実証実験を行った。今は規制があるが、将来は遠隔医療で薬も購入できるよりよい社会システムの構築につなげていきたい。光ファイバーの通信インフラは、第5世代(5G)移動通信システムの大容量や高速に強みがある。通信会社やCATV5社と新会社を設立し、光ファイバーと無線で家庭までの5G網構築も支援する」

 --新たな100年に向けた成長戦略は

 「既存事業の強化こそが1丁目1番地だ。ロボットを活用した業務効率化では、財務や管理部門の効率化など約80プロジェクトが立ち上がり、年間換算で約15億円のコスト削減につなげた。環境価値と社会価値、企業統治(ガバナンス)を効かせた経営基盤の強化が重要になる」

 --人材をどう育てるか

 「未来志向で多様な人材が化学反応を起こせる場をすべての職場に持たせたい。東京本社の近くには、外部と協業できるラボを開設した。海外では、企業内投資ファンドを米シリコンバレーなど4カ所に設置し、インドでも検討している。既存のネットワークにスタートアップをつなげることで、新しいビジネスを創出したい」

                   ◇

【プロフィル】兵頭誠之

 ひょうどう・まさゆき 京大大学院修了。1984年住友商事入社。執行役員、常務執行役員、専務執行役員環境・インフラ事業部門長を経て、2018年4月から現職。愛媛県出身。

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