2020 成長への展望

再生エネ増設や投資などで電源開発 東邦ガス社長・冨成義郎さん

 --電力・ガスの小売り自由化が進展している

 「電力自由化が約4年、ガスも約3年になる。自由化の認知度は高まり、定着してきたが、競争は確実に厳しくなっている。都市ガスでは、当社の供給地域への新規参入事業者が増えており、強みである安心・安全サービスのPR強化とポイント付与などの新たなサービスを拡充させていく」

 --電力販売の見通しは

 「電力は順調に申し込みが増えている。2019年度に24万件の目標は上期で超えた。ただ、先に行くほど状況は厳しくなると覚悟しており、中期計画の21年度に30万件を着実に目指す」

 --自前の電源開発も必要になる

 「電源確保では、とくに再生可能エネルギーに力を入れている。昨年4月に愛知県武豊町でメガソーラーを稼働させ、現在2カ所目の計画を進めている。併せて再生エネの既存設備や新規設備に投資するファンドに出資。チャンスがあれば、バイオマスなど幅広く再生エネに投資していく。また、一定レベルの天然ガス発電設備を保有する検討も進めている。世界的な低炭素化の動きに向けて、当面は天然ガス転換と高効率化で対応していくが、その先は再生エネになるし、水素利用にも取り組む」

 --都市ガスの需要開拓へ導管網を拡大している

 「岐阜・東濃地区や三重県北部に導管網を広げてきた。今後は岐阜・中濃地区、岐阜北部、三重南部にも延ばしていく計画だ。愛知県では、自動車関連企業が集中している三河地区に向けて幹線を強化していく。LPG(液化石油ガス)事業では、昨年4月にLPG事業者のヤマサを子会社化し、事業体制を強化した。都市ガスとLPGをうまく組み合わせながら、需要開拓を進めていく」

 --災害リスク回避でガスコージェネ(熱電併給)など分散型電源への注目度が高まっている

 「18年9月に名古屋市港区の工場跡地を再開発したスマートタウン『みなとアクルス』では、コージェネや再生エネ設備を蓄電池と組み合わせて設置している。マンションには全戸に家庭用燃料電池を設置。ある意味では最適なエネルギー供給形態実現への実証試験の場でもあり、再開発が活発な名古屋の名駅、栄地区など他の地域にも展開していきたい」

 --エネルギー業界再編が進むとの見方もある

 「事業分野や地域を限った部分的な連携は進むと思う。原料調達を通じて、緩やかな系列化が進む可能性はあっても、その先は見通しにくい」

【プロフィル】冨成義郎

 とみなり・よしろう 1981年京大大学院修了。東邦ガス入社。執行役員企画部長、同技術開発本部長、取締役常務執行役員、同専務執行役員を経て、2016年6月から現職。岐阜県出身。

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