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新型肺炎 春節控え警戒の関西空港「SARS並みに備え」

 中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の発症者拡大を受け、中国から多くの旅客が訪れる関西国際空港では、旅行などでの人の移動が激増する春節(旧正月)の大型連休(24~30日)を控え、感染が疑われる入国者がいないか警戒を強めている。連絡橋を渡って対岸にあるりんくう総合医療センター(大阪府泉佐野市)は、未知の感染症に対しても入院治療が可能な「特定感染症指定医療機関」に西日本で唯一指定されており、患者受け入れの準備を進めている。

 関空ではこの年末年始で中国から約10万人が入国したとみられ、武漢との直行便は週11便が運航。厚生労働省関西空港検疫所は以前から、関空に到着する全便の旅客に対して、検査場を通過する際にサーモグラフィーで発熱がないか監視してきた。

 さらに7日からは、新型肺炎への対応として「武漢からの入国者でせきや発熱があるか、せき止め薬や解熱剤を服用している場合は、検疫官に申し出てください」と呼びかけるポスターを掲示している。

 同検疫所は「発熱などの該当者がいた場合は中国で感染者と接触しなかったかなどの状況を聞き取ったうえで、マスクをして速やかに医療機関を受診するよう勧めている」と話す。

 感染が疑われる患者が見つかった場合、同検疫所はりんくう総合医療センターへの受診を促す。同センターが設ける感染症センターは、新型肺炎の感染者の入院治療に必要な部屋の広さや医療機器、スタッフをそろえ、マニュアルを基に訓練を重ねている。

 新型肺炎の感染が中国で拡大して以降、発熱などの症状のある患者が数人受診したが、いずれも新型肺炎ではなく、インフルエンザなどと診断されたという。

 同センターの倭(やまと)正也センター長は「他の診療科でも感染が疑われる症例があれば連絡するよう院内の情報共有を進めている。重症率や致死率を注視し、過去に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)に近い可能性を想定して準備を進めている」と話している。

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