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楽天、携帯本格参入へ大詰め 試験サービス拡大、課題洗い出し…4月始動へ準備 (1/2ページ)

 楽天モバイルは23日、昨年10月から試験的に運用している無料の携帯電話サービスの利用者を最大で2万人追加すると発表した。これまでは5000人に限定していた。多くの利用者の声を吸い上げ、課題の通信ネットワークの安定稼働を最終確認する。4月からの本格サービス開始に向けた準備は大詰めを迎えている。

 試験サービスの追加募集は23日から2月3日まで専用サイトで受け付ける。東京23区と名古屋市、大阪市、神戸市在住の18歳以上が対象で、前回の募集で落選した人を優先し、初めて申し込む人は先着順。サービスは3月末に終了する予定だ。

 「いよいよ、4月から本格サービス開始というのをこの場をもって正式にお知らせしたい」。楽天モバイルの山田善久社長は23日の会見で宣言した。

 山田氏が自信を示すのは課題だった基地局整備の遅れが解消されつつあるからだ。もともと、楽天は昨年10月に本格サービスを始める予定だったが、基地局整備の遅れで延期。総務省からは遅れを理由に昨年3回の行政指導を受けた。

 だが、楽天グループ各社から数百人の応援を受けるなど総力を挙げて整備を進め、1月時点で基地局数は3000局を超えた。さらに山田氏は「3月末までに当初計画の3432局を上回る4400局になる」との見通しを示した。

 残る課題は通信網の安定稼働だ。昨年12月には3時間近く通信障害が発生し、総務省から行政指導を受けた。設備の一部ソフトウエアの不具合が原因で、山田氏は「過負荷試験を追加するなど万全を期す」としている。

 楽天は通信網にクラウドを使った「仮想化」と呼ぶ新技術を全面採用し、投資額を大幅に削減している。だが、世界初の試みとなるだけに「想定外の障害が多く、技術ハードルは高い」との指摘もある。試験サービスの拡大で、より多くの利用者の声から通信品質の課題を洗い出し、改善につなげたい考えだ。

 通信網の安定稼働にめどがつけば、焦点は料金プランに移る。新規参入する楽天には、競争力のあるプランを打ち出して携帯大手3社の寡占を崩し、競争を促すことが期待される。

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