高論卓説

技術の祭典でもある東京五輪 国産スポーツ用品で存在感示す好機 (1/2ページ)

 2008年の北京五輪は水泳競技で23個の世界新記録が誕生した。英国の「スピード」が開発した水着を着用した結果の旋風であった。浮力を上げ、水の抵抗を減らす工夫をした素材を用いて、体を締め付けて筋肉量を小さくする水着。「レーザー・レーサー(LR)」と呼ばれる高速水着で、NASA(米航空宇宙局)の研究者まで動員して完成させたと伝えられている。しかし、翌09年に国際水泳連盟(FINA)は、新ルールを作ってLRの着用を禁止してしまった。100分の1秒を競う水泳競技だけに、水着の発揮する影響力は想像以上に大きい。(松浪健四郎)

 東京五輪は、スポーツ用品各社にとって最大の見本市となる。水着にとどまらず、火花を散らすシューズやユニホームもすごい。ユニホームやシャツには、水着と同様でIOC(国際オリンピック委員会)は製造企業のマークのサイズを規定している。一流競技者が着用しているかどうか、ファンたちは観察する。特にシューズは、企業のマークの規定がないため競争は激烈である。

 ナイキのシューズが話題を独り占めしている。昨夏の国内のマラソン五輪予選では、ピンクのシューズが目立ったばかりか好成績を上げた。今年の箱根の大学駅伝は青山学院大の圧勝で終わったが、記録ずくめであった。優勝タイムに加え、6個の区間新記録が誕生したのだ。マラソンの元世界選手権者である谷口浩美氏はいう。「炭素繊維のプレートが組み込まれたナイキの高速シューズの影響だ。靴によって一歩が通常より1センチ伸びただけで、何万歩を刻む中では数百メートルの違いになる」(日刊スポーツ)と。

 ナイキのこの「厚底シューズ」は、17年から登場した。クッション性に加えて軽量化、そして高い反発力があるとされる。既に強力ランナーたちが履いていて、最も高い人気を誇る。箱根駅伝の直後、スポーツシューズの大手であるアシックスの株が下落した。アシックスが独占的な強さがあったレスリングシューズですら、じわりじわりナイキに食われつつある。

 各社は、科学力を集結させ、威信をかけて開発する。今や五輪はスポーツ用品の見本市化し、マーケットの争奪戦の様相を呈している。とりわけタイムを競う競技種目には、大きな開発費を投入。製品は定価を抑えるために、ほとんどベトナムなどの途上国で生産する。今月15日、世界陸連がナイキの厚底シューズを禁止すると複数の英メディアが報じた。どうなるか予断を許さないが、アシックスとミズノも反撃に必死である。

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