金融

日銀・民主のデフレ認識ずれ 09年議事録 政権への対応苦慮

 日本銀行は29日、2009年7~12月の金融政策決定会合の議事録を公開した。前年に発生したリーマン・ショックによる景気低迷が続く中、この年の9月には自民党が下野し、民主党政権が誕生。景気刺激や物価が持続的に下落するデフレからの脱却を目指し、一層の金融緩和を求める民主党政権と、緩和強化に慎重な日銀との緊迫したやり取りが明かされた。

 「政府と日銀の十分な意思疎通が国民の目線からみて全くみえない状態が続いている」。10月30日の会合で、内閣府の津村啓介政務官は、政府と日銀の足並みがそろわない現状に不満をあらわにした。

 日銀はこの日の会合で、融資環境が改善しているとして、企業の資金繰り支援のため特別に実施した社債やコマーシャルペーパー(CP、無担保の約束手形)の買い入れを12月末で打ち切ることを決めた。

 だが、政府は物価下落や中小企業の資金繰りが悪化していることに触れ、CPなどの買い入れ継続の必要性を強調。6日には亀井静香金融相が「日銀は時々、寝言みたいなことを言う」と述べ、打ち切り姿勢を示す日銀を牽制(けんせい)していた。

 11月20日には政府が月例経済報告でデフレを事実上宣言した一方、日銀は同日の会合で景気の現状認識を上方修正。「デフレという言葉を定義しないで使うと混乱を招く」(白川方明(まさあき)総裁)としてデフレ認定も見送った。

 これに対して津村氏は「デフレ的な状況に入りつつある」と反論、景気認識の違いが表面化した。

 しかし、同月下旬に中東のドバイ首長国の政府系企業が債務返済猶予を求めた「ドバイ・ショック」を引き金に約14年ぶりの急激な円高と株安が進行。12月1日に日銀は臨時会合を開き、一転して10兆円規模の追加緩和に踏み切ることになる。

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