リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

キーコーヒー・柴田裕社長(2-1) 創業100年 2世紀企業の扉開く (1/2ページ)

 若者呼び込む仕掛けづくり必要

 「情熱を世界へ、感動を未来へ。」-。8月に創業100周年を迎えるキーコーヒーが次の100年に向けて発信したメッセージだ。創業時には憧れの存在だったコーヒーを日本に根付かせるため、コーヒー豆からこだわる品質第一主義を貫き、家庭や職場でも飲める商品開発に注力、コーヒーの魅力をアピールしてきた。次の100年に向けて持続可能なコーヒー生産にも挑む。創業精神の「鍵」を引き継いだ3代目の柴田裕社長は「2世紀企業の扉を開く」と意気込みを見せる。

 時代と文化の扉開く

 --8月24日に創業100周年を迎える。創業時からの歩みを振り返ると

 「100年を無事に迎えられることはうれしい。1920(大正9)年の創業時は横浜市など港町に西洋文化がラッシュイン(勢いよく入り込む)、日本人はハイカラに憧れた。ファッションなどとともに食品もビールやアイスクリーム、ケーキ、コーヒーなどが入ってきて、『おいしそう』『おしゃれ』と憧れた。創業者の柴田文次もコーヒーにタッチして(触れて)感動を覚え、横浜市に『木村商店』を開業した」

 「1989(平成元)年に『キーコーヒー』に社名を変更したが、コーヒーが『時代と文化の扉を開く鍵』になるとの創業者の考えを反映したもので、コーヒーを通じて新たな食文化を広めたいという思いが根底にある。試行錯誤しながら、誰でも簡単に家庭でも楽しめるコーヒーを生み出し、コーヒーと一緒に楽しむ食品とのマリアージュ(飲み物と料理の組み合わせが良いこと)にも初期から取り組んできた。苦しいときを経て、コーヒーが日常生活に溶け込むようになった。歴史の長い企業が多い中、100年超の企業としてさらなる展開を目指す」

 感動を絶えず提供

 --100周年メッセージに託したことは

 「今年1月にメッセージとロゴを新たに制定、社章をリニューアルした。メッセージには、これまで取り組んできたコーヒーへの情熱を日本だけでなく世界に発信していくという思いを込めた。また『世界へ』には、2020年の東京五輪・パラリンピックや25年の大阪・関西万博などで日本を訪れる海外の人々に当社のコーヒーや日本の喫茶文化を伝えていきたいという思いを、『未来へ』では、まだ当社のコーヒーにタッチしていない、特に若年層においしいコーヒーに出会う感動を絶えず提供したいという思いを伝えたかった」

 --記念商品も売り出す

 「レギュラーコーヒー『SINCE1920』シリーズを発売した。創業時から受け継がれてきたブレンド技術と焙煎技術を駆使し、多くのお客さまに長年認められてきた味わいを家庭に、との思いから生まれた新シリーズだ。1929年に発売した缶詰コーヒーから使用している鍵のマークと『KEY』のロゴマークを使用したデザインを踏襲し、現代風にアレンジした。順次、コーヒーやそれにまつわる商品を100周年記念などとして販売していく」

 --国内市場の成長性は

 「消費量は2016年に過去最高を記録して以来、高いレベルで推移している。国立がん研究センターがコーヒー摂取は死亡リスクを低減させると発表したり、コーヒー豆の産地やいれ方にこだわるサードウエーブのブームやコンビニでひき立てコーヒーが手頃な価格で飲めたりとコーヒーとのタッチポイントが増えているためだ。都市部だけでなく、地方でもリゾート地や温泉地などで観光客がコーヒーを飲んでゆったりまったりする光景が見られるようになった」

 --課題は

 「人口減少は心配していないが、コーヒー摂取量は1人当たり1日1杯弱で、欧米の3分の1~4分の1と少ない。それだけポテンシャルがあるともいえる。喫茶店でコーヒーを飲んだ世代は仕事をリタイアした後も飲み続けると期待している。若い世代も、親と一緒に家庭でコーヒーを飲んで育った人たちは心配していないが、若者へのアプローチは必要だ。コーヒーにタッチする仕掛けをつくることで市場は伸ばせる。株主総会でもコーヒー好きな若い世代の方々を見かけるようになった」

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