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LINEで住民票がとれる 渋谷区がオンライン申請を4月から導入

 多くの人たちが利用している無料通信アプリ「LINE」(ライン)を通じて、住民票などを申請できる新たなシステムを東京都渋谷区が導入し、4月から本格運用を始める。区は令和2年度当初予算案に、オンライン申請の整備費として300万円を計上。顔認証システムを使った全国初の取り組みといい、いつでもどこでも申請できるのが特徴だ。

 住民票や課税証明書、所得証明書、納税証明書など、すでに郵送請求で取得できる書類が主な対象。利用者はラインの区公式アカウントから入り、トーク画面上で申請する内容を選択。申請の際には、運転免許証などの写真とともに、スマートフォンなどで撮影した自分の顔写真を送信する。人工知能を使った顔認証システムで本人確認する仕組みで、区の担当部署が申請内容に従って証明書類などを発行し、郵送する。

 犯罪収益移転防止法施行規則の改正により、平成30年11月からオンライン上での本人確認が可能になった。従来の郵送請求は、利用者の手元に届くまで5~6日かかっていたが、ラインで手続する場合は申請をリアルタイムで把握するため、大幅に短縮できるという。手数料や郵送料などは電子マネー「ラインペイ」で決済する。

 区は、役所の窓口の省力化や区民の利便性を高めるため、利用者が役所を訪問せずに行政サービスを受けられる仕組みの構築を目指してきた。法改正によってオンライン上の本人確認が可能になった2年前から検討を本格化。職員の業務負担を増やさずにサービスを提供できる目途がついたことから、導入に踏み切ったのだという。

 区は、こうした申請サービスに加え、道路や橋、公園などで破損、落書きなどを発見した場合の情報提供も受け付ける。時期は未定だが、粗大ごみの申し込みや子育て支援への活用など、今後、ラインを通した行政サービスの対象範囲の拡大も検討している。

 区の担当者は「わざわざ窓口に足を運ばず、自宅や外出先などで気軽に書類を受け取れる。ぜひ活用してほしい」と語った。オンライン申請は2月に部分的な実証実験を行い、4月から全面的にスタートする。

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