金融

令和元年の国際収支はサービス収支が初の黒字も…訪日客増が貢献も晴れぬ先行き

 財務省が10日発表した令和元年の国際収支速報では海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は20兆597億円の黒字だった。黒字額は前年比4.4%増で、2年ぶりに増加した。昨秋のラグビー・ワールドカップ(W杯)効果などで訪日外国人旅行客(インバウンド)の消費が増え、サービス収支は暦年で初の黒字に転換した。ただ、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で中国人客の減少が見込まれ、先行きは晴れない。

 経常収支のうち、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5536億円の黒字だった。黒字幅は53.8%減少した。米中貿易摩擦などの影響で輸出は中国向けの自動車部品やタイ向けの鉄鋼が落ち込み、6.3%減の76兆1157億円。輸入は液化天然ガス(LNG)などの価格下落を受けて、5.6%減の75兆5622億円だった。

 これに対し旅行や貨物輸送を含むサービス収支は1758億円の黒字で、8062億円の赤字だった前年から大幅に改善。うち訪日客の消費から日本人が海外で使ったお金を引いた旅行収支は黒字が9.1%増の2兆6350億円だった。日韓関係悪化で訪日韓国人客は減ったものの、中国人客の増加や「ラグビーW杯効果の方が大きかった」(財務省関係者)形だ。

 旅行収支は訪日客の増加で平成27年に黒字化し、令和元年まで5年連続で過去最高を更新した。サービス収支の黒字化は、この旅行収支での黒字が大きく寄与した。このため訪日客の3割を占める中国人客の減少が見込まれる今年は、サービス収支がこのまま黒字を維持できるか不透明だ。

 麻生太郎財務相は10日の記者会見で、「旅行収支はこれまでに比べずいぶん大きくなった。インバウンドが占める比率は大きい」と警戒感をにじませた。

 内閣府が10日発表した1月の景気ウオッチャー調査でも、「(新型コロナウイルスは)2~3カ月で消失するとは思えない。インバウンド比率が高いので予約が鈍るだろう」(南関東のホテル従業員)など、街角の不安の声が数多く寄せられている。2~3カ月先の景気見通しを映す先行き判断指数は、前月から3.7ポイント低下の41.8だった。

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