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北海道の企業、連作障害回避の技術輸出へ 野菜20品目を同時水耕栽培

 北海道七飯町で水耕栽培を手掛ける「アプレ」が、20品目以上の野菜を一つの養液で同時に栽培できる仕組みを開発した。通常は同じ養液で数品目しか育てられないが、多品目の同時栽培を実現したことで養液を捨てずに済み、水資源の乏しい地域から注目を集めている。既にカタールやタイなど3カ国から打診があり、栽培技術を輸出する方針だ。

 「土でできることは何でもできる」。アプレの高橋広介代表取締役(71)が力説する。棚の上の不織布などに種をまき、肥料を溶かした水に根を浸す。土を使わないため虫が付かず農薬はいらないという。北海道は農閑期だが、ハウスの中ではミニトマトやパプリカ、サニーレタスなどが収穫を待つ。

 地中熱などの自然エネルギーで室温を保ち、日が陰ると自動で発光ダイオード(LED)が点灯。人為的に生育環境を管理できるため成長が早く、葉菜類は最短で20日、トマトやナスなど果菜類は2~4カ月で収穫できる。

 開発のヒントになったのは多様な植物が茂る雑木林。品目によって養液を変える通常の水耕栽培は、育て続けると成分が偏って生育不良に陥る「連作障害」が起きるため、定期的に養液を交換する必要がある。高橋さんらは雑木林に着目し「さまざまな野菜を同時に育てれば養液は劣化しないのでは」と考えた。

 ただ、多品目の野菜を同じ養液に入れるだけではすぐに枯れる。試行錯誤の末、根の成長が弱くならないよう水流をつくり出すなど工夫。多様な野菜を共生させることで雑木林の環境の再現に成功し、2015年4月に野菜の出荷に至った。

 北海道だけでなく、インターネット通販で全国に販売。肥料を調整してえぐみを減らし、栄養価を高めてブランド化を図る。購入者から「癖がなく食べやすい」との声が寄せられ好評という。

 19年8月からはNTTドコモなどと提携し、コンピューターを使った生産管理システムを導入した。光合成に必要な室温や光、二酸化炭素量などを計測し、自動でエアコンを操作してハウスの窓を開閉する。

 現在、年間50~60トンの収穫がある。栽培面積を増やさず、収穫サイクルを早めて生産量を上げる研究も進める。高橋さんは「良質な野菜を少量作るのは誰にでもできる。環境に負荷をかけずに大量生産できてこそ世界から歓迎される」と話した。

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