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セブンの「鶏唐揚げ弁当」の味は北海道と茨城でどう違うのか (2/2ページ)

 地域メニューの割合は全商品の7~8割にも

 また、セブン‐イレブンは、見た目からして「地域性」と「季節性」を前面に出したシリーズ「地域のご飯メニュー」も投入している。これは一食分のご飯の上に軽めの具材を乗せた商品であり、価格は全品295円(当時)に統一した。07年6月、7月には全国9つの地区で異なる商品を推奨した。鶏唐揚げ弁当と違って、地域の特徴を食材で表現している。いくつか紹介すると、

 ◎北海道:時しらず御飯

 ◎東北:さんま御飯

 ◎群馬・新潟:津南産アスパラ添え海老ピラフ

 ◎栃木・茨城:茨城県産しらす明太子御飯

 ◎長野・山梨:野沢菜鶏そぼろ御飯

 ◎東海:駿河湾産しらす御飯

 ◎関西:ちりめん山椒御飯

 ◎中国:焼さわら御飯

 ◎九州:明太子御飯

 (『月刊コンビニ』2007年8月号より)

 セブン‐イレブンは、それ以前は地域メニューを2~3割程度としていたが、この時代は逆転して7~8割としている。ちなみに全国統一メニューには、地域性を出しにくい、ネギ塩豚カルビ弁当や牛カルビ弁当、カレーライスといった商品がある。

 コンビニが提供する弁当が地域の味ばかりでは、当の地域の人たちにとってつまらない。かといって、よく知らない流行のメニューばかりだと手を出しづらい。おそらく、地域のニーズを取り入れた食べ慣れた味と、多少は目新しい商品との程よいバランスが望まれているのだろう。

 日本の伝統食をコンビニに取り入れた「おでん」

 一般には、「おでん」を購入する店は、スーパーマーケットの袋物を除けば、コンビニ以外は考えられないだろう。日本の伝統食がコンビニ食として定着し、アジア諸国にもコンビニのおでんは波及している。

 70年代後半には、おにぎり、弁当といったデイリーフーズがコンビニの核売場として拡充されつつあった。こうした他の業態では扱っていない目的来店性の強い商品は、価格競争にさらされず、粗利益も高く店舗にとっては大歓迎であった。

 そうした独自商品を拡充する流れの中に「おでん」がある。商店街の中には、おでん屋も存在していた時代であり、一定の需要は見込まれていた。ポイントはコンビニの従業員が、容易に販売できるかどうかにあった。

 セブン‐イレブンは79年に専用の什器「おでんウォーマー」を開発、具材を並べて、つゆを希釈して、什器の中で温めるだけの「コンビニおでん」の販売を一部地域でスタート、82年には全国に展開させた。

 スーパーより管理しやすく、単価も上げられる

 コンビニは「家庭の冷蔵庫」と呼ばれるくらい冷えた商品を品揃えしている。7月の後半が一年を通して最も売上が上がる一方で、秋冬の売上対策を求められていた。特に夕夜間は、時間に余裕のある消費者がスーパーマーケットに流れるため、秋冬の夕夜間に目的買いされる「コンビニおでん」はうってつけであった。

 おでんはスーパーマーケットの差別化にもつながった。おでんの什器はカウンター上に設置するため、常に従業員の目が届く範囲にある。客がセルフでカップに取るか、従業員がサポートするか、店舗によって違いはあるものの、おでん什器を、しっかりと管理できるのがコンビニの強みであり、スーパーマーケットにはできない販売形態であった。

 また、客単価の向上にもつながった。おでんの購入は1品だけではなく、3品、4品と複数の購入が一般的である。玉子、大根は必須アイテムとして、他の具材についてもバラエティをもって品揃えし、はんぺん、昆布巻き、厚揚げ、がんも、白滝、こんにゃくなど、充実させて客単価を高めていった。

 おでんの具材と、ベースとなるつゆに関して、コンビニ大手チェーンが全国に店舗網を築く過程において、当然「地域性」に着目するようになる。明確に分かれる関東と関西の違いだけでなく、東海、北海道、九州はどうなのか。さらに細かく見ていけば具材にも地域性があるはずだ。

 中国ではおでんが“串刺し”の状態に

 2000年代に入ると、各チェーンが具材とつゆの「地域性を競う」ようになった。外食チェーン大手が全国一律のメニューと味で店数を増やす時代ではあったが、外食が「ハレ」の需要であるのに対して、コンビニは「ケ」の需要であり、家庭の料理を代行する役割がある。全国各地に、コンビニ向けの専用工場や協力工場が組織化されるにつれて、おでんの具材もつゆも、その土地の工場が、地域特性を反映させて製造することが可能になった。

 例えば、北海道では「フキ」、東北では「玉こんにゃく」、関西は「ごぼう天」、九州は「豚ナンコツ」といった具材。つゆについては、北海道は煮干しが強め、東海はむろ節を加え、関西は昆布を変えてさっぱりとした味にし、九州はあごだしを用いるなど、特徴を持たせていった。

 話はやや飛ぶが、日本のコンビニとして中国本土に初めて出店したローソンは、上陸から一年後の97年に、上海の店舗で日本と同様の専用什器を用いて、おでんの販売をスタートさせた。当初は日本と変わらないメニューで臨んだが反応が鈍く、ローカライズの必要に迫られた。

 そこで、現地のマーケットを調査した結果、購入後すぐに食べられる状態が必須とわかり、全品串に刺したおでんに切り替え、具材は魚や肉の練り物を中心とした。このことで、おでんの「ワンハンド」化がなされ、消費者の支持を得ていった。その後、ローソンに限らず、他のコンビニも追随することで、中国では串おでんを定着させている。(流通ジャーナリスト 梅澤 聡)

 梅澤 聡(うめざわ・さとし)

 流通ジャーナリスト

 1961年、札幌市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、西武百貨店に入社し、ロフト業態立ち上げに参画する。1989年、商業界に入社すると、『販売革新』編集部へ。『月刊コンビニ』編集長、『飲食店経営』編集長、編集担当取締役を経てフリーランスに。現在は両誌の編集委員を務める。

 (PRESIDENT Online)

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