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「やよい軒」より100円高い「大戸屋」がお客を取り戻す一手はあるのか (3/3ページ)

 やよい軒とほっともっとのメニューが似ている理由

 そうなると、脱手作りによるコスト削減効果は限定的になり、ほかの面でのコスト削減が不可欠だ。そこで期待されるのが、2019年10月に筆頭株主となった外食大手のコロワイドとの共同調達による食材費の低減だ。大戸屋は国内で約350店(2019年3月末時点)を展開しているが、全国に約2700店(2019年9月末時点)を展開するコロワイドと共同調達ができれば、スケールメリットを活かして食材費の低減が期待できる。

 ライバルのやよい軒が低価格を実現できている理由もここにある。国内店舗数は約380店と大戸屋と大差はないが、やよい軒を運営するプレナスは弁当店「ほっともっと」約2500店(国内)などを抱え、グループでの店舗数は約3000店(同)にのぼる。

 やよい軒とほっともっとのメニューはラインアップがかなり似ている。やよい軒が「しょうが焼定食」(640円)を提供し、ほっともっとでは「しょうが焼き弁当」(500円)を提供している。ほかにも「肉野菜炒め定食」(730円)と「肉野菜炒め弁当」(520円)、「から揚げ定食」(730円)と「から揚弁当」(4個入り390円)、「チキン南蛮定食」(760円)と「チキン南蛮弁当」(500円)、「デミハンバーグ定食」(850円)と「デミグラスハンバーグステーキ弁当」(590円)など、数文字の違いしかない。

 やよい軒はグループのほかの店舗と食材を共通化してスケールメリットを発揮し、食材費をおさえている。実質的には、約2900店(やよい軒約380店+ほっともっと約2500店)で食材の調達を行っていると考えられる。

 筆頭株主コロワイドとの協業に期待

 大戸屋もこの方法をとりたいところだが、大戸屋HDでは大戸屋以外のブランドが育っていないため、実現できずにいた。だが、コロワイドが筆頭株主となり協業の芽が出てきたことで、共同調達による食材費の低減が期待できるようになった。

 コロワイドには、大戸屋が提供するメニューで使われる食材を扱う飲食ブランドが複数ある。「土間土間」「寧々家」など魚や肉の料理を提供する居酒屋や、「かっぱ寿司」など魚料理を提供する回転ずし店、「ステーキ宮」などステーキやハンバーグを提供する店、「かつ時」などとんかつを提供する店などだ。これらと共同で食材を調達できれば、食材費の低減、メニュー価格の引き下げが期待できる。

 また、コロワイド傘下の焼肉チェーン「牛角」などの仕入れルートを生かして「カルビ焼肉定食」といった新たな定食メニューを開発し、価格を抑えて提供することもできるだろう。

 協業は交渉ごとなので簡単にはいかないだろうが、大戸屋HDはもはや自社だけでのこれ以上のコスト削減はなかなか難しい局面にある。おそらくコロワイドの力を借りてこうした策を実行することになるだろう。いずれにせよメニュー価格の引き下げが喫緊に求められており、どのような解決策を出すのかに注目が集まる。

 佐藤 昌司(さとう・まさし)

 店舗経営コンサルタント

 立教大学社会学部卒業。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。店舗型ビジネスの専門家として、集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供している。

 (店舗経営コンサルタント 佐藤 昌司)(PRESIDENT Online)

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