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新型コロナで社員に「有休」をとらせる日本企業のおかしさ (1/4ページ)

 新型コロナウイルスをめぐり、政府は時差出勤やテレワークの積極的な実施を求めている。しかし、政府の呼びかけは機能するのだろうか。法政大学ビジネススクールの高田朝子教授は「テレワークに対応しているのは大企業が中心。『出社至上主義』の中小企業では、有休での対応になりかねない」と指摘する――。

 政府は時差通勤、テレワークの活用を求めるが…

 COVID-19感染症、いわゆる新型コロナウイルスが勢いを増している。国内での感染者と死亡者の発生と増加を受けて、「対岸の火事」から「渦中の当事者」にモードが完全に切り替わった。

 政府は感染防止のために発熱などの症状があったときに労働者が休みやすい環境の整備や、時差通勤、テレワークの積極的な活用を強く求めている。そして大企業を中心に、時差出勤やリモートワークに切り変える企業がでてきはじめた。ただし、この流れが長期的かつ完全に実施されるかというと不透明である。

 東京の満員電車は少し減った感はあるけれども、相変わらずの混雑で、多くの人が通常通り出勤する。都会においては公共交通機関を使わずに出勤することは極めて難しいし、高熱が出ているわけではない体調不良で会社を休むという意思決定はなかなかハードルが高い。

 言うまでもなく人混みを避けることと、体調不良時は自宅から外に出ないことの2つは感染拡大防止の大原則である。しかし、感染者となった人の多くは、症状が顕在化して入院措置がとられるまで、真面目に会社に行き、仕事をし、そして意図せず周囲のウイルス感染のリスクを引き上げた。誰もウイルスをばらまこうなどとは微塵(みじん)も思っておらず、その時に求められていた仕事をこなした結果である。

 この種の休めない人々を単純に社畜と罵(ののし)るのはたやすい。しかし、世の中には自分が職場に移動しないと仕事にならない人々も多く存在する。製造の現場では現場に行かないと仕事にならないだろうし、医療や介護、そして他のサービス業も又しかりである。それ以外でも、会社に行って社内ネットワークに接続し、会社のパソコンを使わないと仕事ができないという人々も多いだろう。

 その上、アルバイトやパート、そして多くの派遣社員や契約社員の非正規社員や、フリーランサー等、仕事に行くことが賃金に直結している人々は休みたくても休めない。生活ができなくなるからである。

 「迷惑をかけるから」体調不良でも出社する人が圧倒的

 一方で、出社しなくても仕事にさほどの影響がない人々も多く居ることは事実である。多数派であろうこの種の人々が、体調不良で休むという断固たる意思決定と行動ができないのはなぜだろうか。

 筆者の勤務するビジネススクールのMBA学生達とのディスカッションでは、その理由として「周りに迷惑をかけるから」と答える者が大半であった。自分が抜けることによって、職場の中の誰かがしわ寄せを受ける。ただでさえ人手不足で大変なのに同僚に迷惑をかけたくない、というのがその趣旨である。

 責任感のある人ほど自分の体調を鑑みずに仕事に対して忠実に動く。その結果として体調不全の中の出社が起きる。ウイルスの感染を広げているのは、こうした日本人の「出社至上主義」にあるのだ。

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