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価値の再定義が有効な5つのケース

 □ビジネスリノベーション社長・西村佳隆

 ビジネスリノベーション(価値の再定義)が有効に機能する5つのケースを紹介しよう。いずれも「やらないリスク」を回避し、「やるリスク」を小さくできる。

 1つ目は、「技術はある」「こんなものを作ってみた」というケース。これは「自社の技術面の強み」にフォーカスされている一方で、「誰のどんなニーズに応えているのか」を深めることや、「自社のスコープの外にあるマーケットへの価値探索」が不足している。解決策として、外部の知見が必要だ。

 2つ目は、「受託体質から抜け出して自社商材を生み出したい」「大口取引先への依存度が高く、新たな顧客を開拓したい」というケース。取引先の要望を受け取って実現することを長年続けてきたために、マーケットや顧客を探索したり、トライ&エラーをしたりした経験がない。方向性を定めるために必要なのは、「どこかにある正解」を探すことではない。「自社がどうしたいのか」という意志が欠如していることが根本要因なので、それを引き出すことが出発点だ。

 3つ目は、「産学協同研究成果をどうビジネスに応用するのか」というケース。大学が生み出す理論的なアウトプットに対し、「シンプルに言うとどんな価値があるのか、どう応用できるのか」を考慮しつつ「国が望む方向性にどう沿わせるのか」がポイントになる。基礎的な技術を事業化するには「量産化」という別次元の知見が必要になるため、国の施策にうまく乗ることをお勧めする。

 4つ目は、「価格競争をしている消費者向け産業」というケース。世界観やコンセプトを再定義することで、消費者・生活者にとっての価値が全く別物になり、既存製品を生み出す投資と大差ない費用で人気化させることができる。

 5つ目は、「コンサルタント会社に頼んだら分厚い提案書が出されたが、やれる人がいない」というケース。既存事業の仕事をこなすのに精いっぱいで、「自分ごとになっていない取り組み」が後回しになってしまい、最悪の場合は自然消滅してしまう。その多くは、「新しい取り組みの仕事量が見えない」ことに起因する。創出価値への貢献を「自分ごと」にすることを出発点にすると、「仕事量が見えない」という問題は存在しなくなる。

 強い既存事業を持っている会社は、その反作用としてこれらの課題を持つことが多い。自社の「思考の枠組み」から抜け出すことで、その強い力がプラスに転じ、社会にインパクトを生み出せる。

                   ◇

【プロフィル】西村佳隆

 にしむら・よしたか 横浜国大工卒。ヤマハ発動機、ワタミ、サミーネットワークスなどを経て、2015年ビジネスリノベーションを設立。事業活性化支援を行う。日本医療デザインセンター理事、経済産業省認定経営革新等支援機関、立命館大デザイン科学研究センター客員研究員。著書『ビジネスリノベーションの教科書』で価値の再定義を主張。51歳。京都府出身。

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