高論卓説

店頭から消えたトイレットペーパー 勘違いに気付けば今週末で沈静化 (1/2ページ)

 まるでオイルショックをほうふつとさせる珍事が起こっている。インターネットを介してデマが広がり、これがきっかけでトイレットペーパーの買い占めが横行して店頭から姿を消したというのだ。テレビや新聞など大手メディアがこぞって「在庫は十分にあり、なくなることはない」と冷静な行動を呼び掛けたが、いまだにスーパーの店頭にあるトイレットペーパー売り場は欠品状態が続いている。そもそもなぜこのようなことが起こったのか。(松崎隆司)

 ある流通関係者は「新型コロナウイルスの蔓延(まんえん)でマスクが不足している。トイレットペーパーも似た素材を使っているとの勘違いから、いずれなくなると思ったのではないか」と話す。

 しかし両者は原料も生産拠点も違う。マスクは主流の不織布の主な原料はポリプロピレン、プラスチック素材だ。7~8割は海外からの輸入で、最も多いのが中国。武漢で新型コロナウイルスが流行した後に、中国からの輸出規制が需給の逼迫(ひっぱく)に拍車を掛けたといわれる。

 一方でトイレットぺーパーの原材料は古紙が60%でパルプが40%。古紙はほぼ全て国産。パルプは輸入材が使われているが、主な輸入先は米国(31.4%)、カナダ(23.2%)、ブラジル(16.7%)、チリ(8.4%)、ニュージーランド(4.7%)、インドネシア(4.5%)、ロシア(4.3%)、その他(6.9%)。中国とは何の関係もない。

 「トイレットペーパーの消費量は月平均で8万~9万トン。1月末の在庫残高は3週間分あった」(日本家庭紙工業会広報担当者)。これは決して少ない水準ではない。しかも生産現場では24時間態勢で製品を製造している。にもかかわらずなぜ、小売りの現場では品不足が続いているのか。

 小売り店舗では「一人一品限り」と制限して買い占めを防ごうとしているが、ほとんど効果がないという。「小型スーパーやドラッグストアなど小さな店舗は売り場面積が小さいため、通常通り商品を陳列しても客が殺到すればあっという間になくなる」(同)。

 それだけではない。もっとも根本的な問題は物流の問題だ。「買い占め騒ぎで急激に需要が伸びているのに、搬送用のトラックが不足している」(同)というのだ。

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