リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

丹青社・高橋貴志社長 デジタル技術で空間演出に磨き(2-1) (3/3ページ)

 官民の橋渡し役に

 --街づくりにも乗り出した

 「デジタル化で社会も変わるので、都市計画や街づくりにも貢献していきたい。東京都町田市と東急による『まちづくりプロジェクト 南町田グランベリーパーク』は商業施設と公園を一体で整備した。19年11月にまちびらきしたが、商業空間と文化空間のメンバーが基本構想から携わり、官民一体の好事例を創出する橋渡し役を務めることができた。こうした官民連携による地域活性化はわれわれにとってチャンスであり、力を発揮できるフィールドだ。ビジネスの幅を広げるためにも生かす」

 「官民連携の事業は今後、増えるのではないか。官は地域市民に向けたサービスや環境の充実、民は経済・産業の活性化など役割に違いはあるものの、われわれは民間企業から自治体・官公庁まで幅広い顧客を抱えているので、顧客と足並みを合わせて両方をつなげる役割を担うことができる」

 --地域創生への貢献は

 「観光立国を目指す上で地域創生が大切になってくる。各地域の活性化をしっかりお手伝いする目的で2月に文化空間事業部内に地域創生支援室を立ち上げた。地域が抱える課題を多面的に検証し、事案の基本構想から事業計画・運営に至る全ての段階で地域のパートナーとして寄り添い、にぎわいのある地域の新しい未来を一緒に創っていきたい。そうした取り組みで地域を元気にするお手伝いができればいいと考えている」

 積極的に海外研修

 --人材育成は

 「空間づくりのプロ集団としてクリエーターやプロデューサー、技術者など多様な人材を抱えており、成長には人材への投資が欠かせない。業績が好調な今こそ、強みとする提案力を磨くときだと考えている。この一環として、海外研修も積極的に実施している。イタリア・ミラノで毎年開催される国際家具見本市『ミラノサローネ』にはさまざまな部署の人員を派遣している。最新のトレンドやアイデアに触れることで企画力・提案力の向上に生かす。また世界最大の家電・IT見本市『CES』にもクリエーターなどを行かせた」

 「海外に出ることで社員が個々の感性を高め、さらなる成長に向けてマインドをリフレッシュできる。また新しいインスピレーションやワールドワイドな視点、流行の先端をとらえ吸収することもできる。こうした刺激が提案の質向上やお客さまからの引き合い、受注につながっている」

 --採用は

 「働き手の減少が顕著な中で優秀な人材を確保することが大切になってくる。このため採用も多様化し、キャリア(中途)採用に加え、昨年からポテンシャル採用を始めた。新卒を含む既卒5年以内が対象で、海外留学や教育実習中で募集のタイミングに合わなかった学生も既卒者とともに申し込むことが可能になった。受け入れ窓口が広がったため、採用予定人数(既卒者は約3割)を確保できた」

 「ポテンシャル採用にあわせて就活媒体などへの掲載ではなく、自社のウェブサイトや当社主催の説明会などでの募集に注力している。当社や業界に興味があったり、当社の仕事を理解した上で就職したいという意識が高かったりする学生から申し込みが増えた。別企業で社会人経験を積んだ上でポテンシャル採用を活用して再度申し込み、採用になったケースもある」

【プロフィル】高橋 貴志

 たかはし・たかし 東京都立工芸高校室内工芸科卒。1974年丹青社入社。99年執行役員、2010年取締役。取締役常務、取締役副社長を経て17年4月から現職。64歳。東京都出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus