高論卓説

淘汰の時代に入った私大 安穏経営は即退場、問われる計画力 (1/2ページ)

 私どもが加盟する日本私立大学協会から連絡をもらった。「2020年度より施行される改正私立学校法に合わせ、役員の皆さまに安心して学校経営に専念いただけるよう、当協会が運営する学校法人向け役員賠償責任保険をご案内いたします」とある。(松浪健四郎)

 ここ数年来、私大経営はさまざまな課題を指摘されてきた。少子化の進行に伴って経営が定員割れによって困難となり、財政上健全でない大学が浮き彫りになってきた。一部の私大では、役員の不適切な管理運営によって学生に被害が及ぶ事例もあり、文部科学省も看過できなくなった感がする。

 文科省は、「私大等の振興に関する検討会議」を16年5月に開催し、翌年5月に「学校法人制度改善検討小委員会」を設置した。役員の責任の明確化が図られることとなり、他の公益法人と同様の損害賠償責任を負うようになったのだ。

 私大として教育の充実を図り、学校法人内の統治を徹底した上で、私大らしい特徴ある改革を推進する。そして、結果として役員に責任を負わせることにした。ずさんな教育と経営を行い、補助金を食い物にしてきた一部の私大に業を煮やした格好だ。

 私たち私大経営者は懐疑的な存在として見られながらも、公共性の高い高等教育機関の統治を確保しつつ経営基盤を強固なものにしなければならない宿命を持つ。理事はもちろんのこと監事など役員が、損害賠償の責任を負うため、負担の軽減と大学経営に関する危機管理の一助として、加盟大学を対象とした「役員賠償責任保険制度」を創設したという案内を日本私立大学協会から受け取ったのである。

 学校法人の役員に就任する前、私はリスクなんてあるとは思わなかった。だが、就任してみると多様な訴訟に毎年のように巻き込まれた。数度の被告を体験したが、幸い勝訴したので賠償するに至らなかったが、4月からは敗訴すれば賠償責任を負うようになる。しかも賠償金の支払い債務は相続の対象となるため、相続人である家族が負担せねばならない。

 少子化で定員を満たせず、経営が破綻した場合の経営責任は当然のこと、経営判断ミスも問われる。情報管理体制の不備によって教職員や学生の個人情報の漏洩(ろうえい)、これも役員の責任である。入試の出願、採点ミスや書類作成ミス、役員を取り巻くリスクは多岐にわたる。教職員のミスは、最終的には役員が責任を負う。統治強化の一環とはいえ、役員の責任は大きい。

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