遊技産業の視点 Weekly View

 □ワールド・ワイズ・ジャパン代表 LOGOSプロジェクト上級研究員 岸本正一

 ■ホールの禁煙営業、重要なポイントは?

 まもなく全国のパチンコホールが禁煙営業(基本的に喫煙しながらの遊技ができない環境)となる。喫煙者比率が一般よりも高いパチンコプレーヤーが、禁煙営業に対してどのような反応を見せるのか注目されるところだ。

 私がこれまでに実施してきた禁煙営業に対するアンケート結果からは、2割前後のプレーヤーが禁煙化を機にパチンコをやめる可能性を示唆しているが、果たしてそのような結果となるのだろうか。

 毎年、膨大なアンケート回収データを分析し続けてきて感じることは、アンケート結果とプレーヤーの実際の行動が、時としてミスマッチを起こすことがあるという点だ。例えば「タバコが500円になったら喫煙をやめる」と豪語していた私がいまだに愛煙家であることや、連敗続きで「もうファンをやめる」と言いながらそのチームを応援し続けるプロ野球ファンのように、好きであるが故に否定的意見を述べたくなるという人間の心情にまつわる現象ではないだろうか。

 今回の禁煙営業に関しては、プレーヤーの大半が遊技中にトイレに行くのと同様に、席を立ち小休止して(喫煙して)遊技を再開するということに著しい障害はないとみている。むしろ問題は、多くのホールに設置される喫煙スペースにある。市街地の喫煙所は時折、相当な混雑を見せている。狭いスペースに喫煙者が押し込まれ、「一服のやすらぎ」というよりは、急いでニコチンを摂取しているように感じることすらある。

 パチンコホールにおいては、従来よりも喫煙プレーヤー1人あたりの休憩回数が増え、休憩時間が長くなるはずだ。この「タバコ休憩」を遊技の障害と感じさせないことが重要だ。

 ポイントは、彼らが必要とする喫煙タイムの「一服のやすらぎ」をホールが喫煙所を通じて提供できるどうかだ。「狭いですがこの中で喫煙してください」「寒いですがここで喫煙してください」というようなエクスキューズがプレーヤーに伝わることを私は最も懸念している。

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【プロフィル】岸本正一

 きしもと・しょういち 1963年生まれ。元SEの経験を生かし、遊技場の集客メカニズムを論理的に整理・研究する傍ら、全国のパチンコホールを対象にコンサルティングを行う。雑誌への連載やテキストの出版、セミナーでの講演なども手掛ける。オベーション代表。

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