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平等院の浄水技術活用 陸上トラフグ養殖、年内初出荷 アクアステージ

 高級魚として知られるトラフグを陸上で養殖する取り組みを、滋賀県草津市の会社「アクアステージ」が進めている。病気や環境変化に弱く養殖が難しい魚の一つとされるが、京都府宇治市の世界遺産・平等院で池の水質改善に貢献した自前の浄化技術を駆使し、12月までの初出荷を目指す。

 3月上旬、草津市内にある同社の実験拠点。人工海水が入った幅4.5メートル、奥行き2.2メートル、深さ0.8メートルの水槽で、トラフグが約100匹、元気に泳いでいた。いずれも体長30~40センチで重さ1キロ程度。体長約5センチの稚魚が順調に育つと、1年ほどでこの大きさになるという。

 「水質を一定に保てるため、トラフグに与えるストレスが少ない。臭みがほとんどない、安定した品質の魚を養殖できる」と、大谷洋士社長(53)は自信をのぞかせる。

 大谷さんらは5年前、水草や藻を激しい水流で粉砕しバクテリアに分解させる水循環浄化システムを開発した。汚れていた平等院の池で使い、病気を抱えながら生息していたコイは快方に向かった。「この技術で新ビジネスを」と、高級ブランド化を見込めるトラフグの養殖に2017年から乗り出し、翌年にアクアステージを設立した。

 海での養殖手法を陸上で実施する場合、すぐに汚れる海水の交換回数が多くなり、大量の排水も生じてしまう。

 だが、人工海水と開発した浄化技術を活用すれば、水槽内を長く清潔に保つことができ、水の交換は1年に1回で済むという。餌やりなどは、携帯端末で遠隔操作できるようにした。総コストは、本物の海水を入れ替えながら行う方法と比べ、3分の1にできると試算する。

 滋賀県の大津市と甲賀市に設けた出荷向けの養殖拠点で計約1万匹を育てつつ、近畿圏の料亭やホテルを中心に商談を始めている。市場動向をにらみつつ、取引価格は1匹(1キロ)当たり5000~8000円を想定する。

 「養殖業で海なし県の町おこしを」。大谷さんは、海外への販路拡大も視野に入れている。

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【用語解説】陸上養殖

 陸上に施設を整備して海産物を養殖すると、海で実施する際に課題となる赤潮や天候の影響を受けず生産性や品質が比較的安定するため、近年は取り組む事業者が増えている。方法は大きく分けて、本物の海水を大量に使う「かけ流し式」と、滋賀県草津市のアクアステージ社のように、人工海水などを浄化しながら長く使う「閉鎖循環式」がある。

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