金融

第一生命 2000億円下方修正 20年3月期最終益 コロナ打撃表面化

 新型コロナウイルスの感染拡大による株価の急落など、市場の動揺が大手金融機関の業績への打撃として表面化してきた。

 第一生命ホールディングスは1日、2020年3月期連結決算の最終利益予想を2090億円下方修正し、2260億円から170億円になる見通しだと発表した。新型コロナの世界的な感染拡大で金利が低下したことが響くほか、海外グループ会社の株価が大きく下落しブランド価値に当たる「のれん代」の償却を迫られた。

 2090億円の内訳は、外貨建て保険の販売を担う子会社、第一フロンティア生命保険が、海外の金利低下に伴い保険金の支払いに備えて積み立てる責任準備金の積み増しをしたため、1605億円のマイナス。グループ会社ののれん代の償却で485億円の費用を計上する見込み。

 株主配当の原資となる実質的な利益見通しは、2400億円を据え置いた。

 一方、三菱UFJフィナンシャル・グループも業績を下方修正した。海外の傘下銀行の株価が大きく下落し、のれん代の一括償却などを迫られた。2020年3月期連結決算で約3600億円の損失を計上する。

 具体的には、19年12月に発表したインドネシアの「バンクダナモン」に関わる2128億円の特別損失が確定。タイの「アユタヤ銀行」とフィリピンの銀行についても、合計で約1500億円の損失を計上する。

 三菱UFJは今年2月、20年3月期の最終利益予想を従来の9000億円から7500億円に引き下げた。今回の損失に加えて、新型コロナの影響で取引先の貸し倒れに備えた与信費用の積み増しなども想定され、業績は一段と悪化しそうだ。

 日本で低金利が長引く中、三菱UFJは経済成長が続く東南アジア各国の現地銀行に相次いで巨額の出資を実施し、収益を拡大してきた。ただ、株価下落によって損失が生じたものの「収益性に問題はない」としており、海外展開を強化する戦略は変更しないという。

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