話題・その他

県側は相次ぐ事故に“怒り心頭” 関電が直面するもう1つの課題

 役員の金品受領問題で揺れている関西電力に、「安全管理」という課題も重くのしかかっている。高浜原発1、2号機(福井県高浜町)で3月13日、敷地内のトンネル工事で作業員がトラックにひかれ、死亡する事故が発生。同じトンネルでは昨年9月に一酸化炭素中毒事故が起きるなどしており、原発構内で事故が続いているのだ。

 「抜本的な対策を」

 金品受領問題を調べていた第三者委員会が報告書を公表する前日の13日に事故は起きた。午後4時10分ごろ、作業用トンネル内で男性作業員(43)が後退するトラックにひかれ、死亡した。

 関電の原発内の死亡事故は、平成16年8月に美浜原発3号機(同県美浜町)で配管が破断して蒸気が噴出し、5人が亡くなった事故以来だった。関電は原発内の工事をすべて中断した。

 福井県などは関電側に事故の説明を要求。14日午前、関電の水田仁原子力事業本部長代理が県庁を訪れると、福井県の清水英男安全環境部長は「再三にわたり県から安全意識の徹底を求めてきた。猛省し、抜本的な再発防止策をまとめてほしい」と注文をつけた。

 県側が怒り心頭なのも無理はなかった。昨年から関電の原発で事故が相次いでいたからだ。

 昨年9月の同じトンネルでの事故では、一酸化炭素中毒で作業員9人が搬送された。同10月には大飯(おおい)原発3、4号機(同県おおい町)敷地内のトンネルで作業員が転落し重傷。関電は同11月、再発防止策をまとめ、安全管理の徹底を掲げたばかりだった。

 期限迫るテロ対策

 事故の起きたトンネルはいずれも、テロ対策として設置を義務づけられた「特定重大事故等対処施設」の建設のために掘削されたもの。同施設は、原子炉建屋から離れた場所に、制御室など原子炉冷却を続けられる設備を備えるものだ。

 同施設の設置には原発本体の工事計画認可から5年という猶予が設けられたが、「どの電力会社も建てたことがない施設」(電力関係者)のため、設計から建設まで手探りが続き、期限を過ぎる見込みの原発が続出。期限延長を求めた電力各社に対し、原子力規制委員会は昨年4月、期限に間に合わなければ、運転停止を命じる方針を決めた。

 このため電力各社は工期短縮を強いられているが、九州電力は3月16日、川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を停止させた。関電も高浜3、4号機をそれぞれ期限前日にあたる8月2日、10月7日に運転停止する。

 安全確保と工事の推進

 関電の場合、原発が1基稼働すれば収支改善額は1カ月40億~60億円。逆に停止すれば、代替の火力発電所の燃料費などとして、この金額がコストに跳ね返る。

 東日本大震災前の関電の電源は原発が5割で、30年度でも3割近くを占める。原発が止まれば、経営を圧迫する構造だ。

 トンネル事故のあった高浜1、2号機の期限は来年6月9日だが、決して工期に余裕があるわけではない。「工事はできるだけ早期に進めるが、安全確保が最優先。工期優先ではない」という水田原子力事業本部長代理の言葉を待つまでもなく、関電には安全を確保しながら工事を進めることが求められている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus