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鹿島、現場のロボット化進む 連続溶接に成功、人手不足解消へ

 鹿島は、2024年春の実現を目指し、建築工事現場における作業の半分をロボットにすることなどを柱とした「鹿島スマート生産」を着々と進めている。3月下旬には多関節型アームを搭載した溶接ロボットによる連続作業の本格適用に成功したと発表したほか、疲労軽減アシストスーツや、ドローン自動巡回システムなども実用化している。同社がスマート化を急ぐ背景には、25年にも予想される建設現場における若年労働者不足の解消がある。

 新開発の多関節型溶接ロボットは、東京都内の高層ビル建設現場における、大型の角形鋼管柱(ボックス柱)をつなぎ合わせる溶接作業で適用された。

 一般的に、ボックス柱を接合する際の隙間(溶接しろ)の形状は、柱の組み立て状況によっては設計通りにならないことがある。熟練技術者は経験をもとに、溶接の回数や、速度、電流値などの溶接条件を調整しながら手溶接で作業する。

 これに対し鹿島は、実際の柱接合部の溶接しろの形状に合わせて、最適な溶接条件を自動算出できるソフトウエアを開発。軽量で低コストの6軸多関節型アームが組み込まれたロボットにより、細かな溶接作業を迅速かつ無人化することに成功した。

 従来のロボットによる溶接作業では、進捗(しんちょく)状況を監視する作業員が必要だったが、新型ロボットなら原則、監視作業は不要となる。さらに鹿島は、溶接しろの形状をセンサーで自動計測し、溶接中に自動的に補正する仕組みを開発中で、今後はヒトによる作業がさらに軽減される。

 鹿島のスマート生産をめぐっては、重量物の運搬などの疲労を軽減するアシストスーツや、ドローン自動巡回システムのほか、壁材の運搬・取り付けを支援するロボットなどを導入済み。24年春の実現に向け、ロボットの改良・運用面の改善を急いでいる。

 鹿島をはじめ、大手ゼネコンがロボットの開発に注力するのは、作業者の高齢化や若年層の入職者不足に伴う建設作業者数の減少に伴い、高度な技能を有する熟練工の減少が懸念されているからだ。

 総務省の労働力調査を基に国土交通省が18年4月に公表した資料によると、年代別の建設業就業者は55歳以上が全体の約34%、29歳以下が約11%だった。25年以降、55歳以上の世代の大量離職が見込まれ、若年層の確保・育成が喫緊の課題となる。

 鹿島は「ロボット化を進めることで、若い世代に建設業の魅力を認識してもらい、人材確保につなげたい」としている。

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