高論卓説

「サブスク」更に栄えて「シェア」滅ぶ 新型コロナが変えるベンチャービジネス (1/2ページ)

 ほんの少し前までは、はやりのベンチャービジネスのキーワードは「サブスクリプション(定額課金)」と「シェアリング(共用)」だった。この2つを組み合わせてAI(人工知能)というはやり言葉の調味料で味付けをすれば、それっぽいサービスができあがる。そんな会社が続々と誕生し、ベンチャーキャピタルから資金を集めていた。(山田俊浩)

 代表格だったのが共用オフィスのWeWork(ウィーワーク)。使用する人数などによって定額料金を支払えば、同社が契約する多くのオフィススペースを使用できる、というものだ。ソフトバンクグループ(SBG)はファンドなどを通じてここに1兆円単位で巨額投資を行ったが、高評価の根拠になったのはAIという調味料。「ウィーワークはAI群戦略の中の1社」と孫正義会長兼社長は繰り返していた。しかし、ビジネスモデルの本質は、不動産のサブリース(また貸し)である。

 ウィーワークを取り巻く環境は3月中旬から一変した。新型コロナウイルスの感染拡大により主要拠点があるニューヨーク、サンフランシスコなどで自宅待機命令が発動。在宅勤務が増え、共用オフィスの利用は急減した。

 状況は日本でも同じだ。シェアリングは感染予防の観点から、「完全にヤバいビジネスになってしまった」(大手不動産幹部)。オフィスだけでない。住居、自動車、自転車なども含めて、ハードウエアを伴うシェアリングには「運営者による消毒作業」が求められるようになるだろう。運営コストの低さこそが強みだったのに、その強みはすっ飛んでしまった。

 SBGは13日、2020年3月期の連結最終損益が7500億円の赤字になることを明らかにしたが、ウィーワーク以外にもシェアリングをキーワードにした企業「Uber(自動車配車サービス)」「OYO(格安ホテル予約サービス)」などへの投資でも大きな評価損を出している。

 一方で、コロナ禍を契機としてさらに大きく伸びているのが、もう一つのキーワードだった「サブスクリプション」である。厳密にいえば「ハードウエアのシェアリングを伴わないサブスクリプション」だ。特にネットフリックス、ディズニープラスのような個人向けの映像配信サービスが大きく会員数を伸ばしている。大手プラットフォームや出版社が展開しているコミックの定額読み放題サービスも「3月からの休校要請を機に1日当たりの新規加入者数が2倍以上に伸びた」(出版社)という。

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