経済インサイド

トヨタを駆り立てる新型コロナ “この指止まれ”で集まるきっかけに (2/2ページ)

 日本経済に占める自動車産業の重要性は今も変わらない。東京商工リサーチによると現在、自動車大手メーカー7社のグループと取引がある企業は2次取引も含めると約4万7000社。単純計算で日本の全企業のおよそ100社に1社に当たる。また、日本全体の就業者人口約6600万人(30年)のうち、自動車関連産業は資材や販売なども含め、計546万人で8%に相当する。

 危機感

 さらにトヨタは今回の新型コロナでは直接的な影響も受けている。各国が打ち出した移動制限などで、生産・販売の停止がリーマン時以上に広がっており、トヨタの完成車工場がある26カ国・地域のうち、操業停止を実施したり計画したりしている割合は7割にのぼる。日本でも5工場は輸出も含めた需要減で一時休止に追い込まれた。

 今回は、世界の自動車メーカーが大変革期に直面する中での混乱だ。自動車業界は現在、世界的需要減の傾向にある上、電動化といった先端技術開発で、異業種も含めた人材獲得競争のさなかにある。少しでも仕事を維持することで、雇用を支える必要が生じているのだ。

 豊田氏は「すぐさま派遣切りとかいう形で人材が流出して技術が途絶えてしまうと、その後の経済復興に時間がかかってしまう」と危機感をのぞかせる。

 次の一手も

 混乱の中で、トヨタは次の一手を探る動きをみせている。

 トヨタが今回、実際に生産する医療用品は医師らの2次感染を防ぐ防護マスク「フェースシールド」や、自社グループ工場内で感染防止用に使う通常のマスクなど。この際、医療機器メーカーなどの幅広い企業との連携を想定している。トヨタ関係者は「未確定の内容も多いが、『この指止まれ』で多くの仲間が集まるきっかけにしたかった」と明かす。

 この「仲間づくり」という言葉は、自動車メーカーから移動サービス全般を提供する「モビリティーカンパニー」への事業構造転換を探る中、新型コロナ問題の前からさまざまな異業種提携を進めてきた新戦略のキーワードだ。

 新型コロナ問題を受け、豊田氏は自工会会長の立場から、他の自動車業界団体3団体と合同での基金(ファンド)作りもぶち上げている。「会社単位でなく業界単位で人材を維持できないかとの思い」だという。(今村義丈)

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