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アフターコロナへ 自社技術デビューの鍵はトレンド把握

 2020年は全人類にとって試練の幕開けとなった。新型コロナウイルスの感染拡大は全てのビジネスに影響を及ぼしている。有識者は「アフターコロナ」という言葉で価値観と世の中の変化を予測している。それを支える技術にもトレンドが生まれるだろう。自社技術のデビューの成功のカギは、このトレンドの把握が握っている。(エヴィクサー社長・瀧川淳)

 米コンサルティング大手のガートナーは毎年、どんな新技術が世の中に浸透していくかを分析した「ハイプ・サイクル」を発表している。新技術のフェーズはグラフ上にマッピングされ、社会への浸透度によって黎明(れいめい)期、「過度な期待」のピーク期、幻滅期、啓蒙(けいもう)活動期、生産性の安定期という5つの状態に分類される。

 筆者はシンプルに「ここ最近のイケてる技術を教えてくれる」発表と捉えている。シーズ技術の開発当事者にとって、自社製品やサービスのデビューをどう飾るかに重要な示唆を与えてくれる。具体的には、「どうすれば注目を集めることができるか」「どの分野であれば過度な競争を避けられそうか」の2点だ。今回は前者のケースを取り上げる。

 エヴィクサーは、「イケてる技術と組んで前代未聞の企画を実施」しようと、13年夏公開の角川書店配給映画「貞子3D2」に音の信号処理技術の提供を行った。「スマ4D」というコンセプトによりホラー映画の演出をスマートフォンによって倍増する企画で、お客さんがスマホを見ながら映画を観賞すると、スクリーンと連動してスマホに電話がかかってきたり、カメラが起動したりと予期せぬことが起こる。イケてる技術とは「スマホアプリ」「各種センサー」「体感型・4D映画」であり、前代未聞の企画とは「映画の上映中にスマホを活用すること」を含んでいた。

 この取り組みは、数多くのメディアに取り上げられ、クリエイティブや新技術の各賞を受賞するなど注目を集めた。盗撮や盗聴の引き金になることを危惧する指摘を受けながらも、技術上の強みをしっかり示せたことで「次はこういうことができないか」という数多くの問い合わせを受けた。

 イケてる技術はもともと社会的な関心が高く、メディアにも取り上げられやすい。一方、前代未聞の企画は、さまざまな工夫を施さないと非常識だと批判を浴びる。単に注目を集めるだけではなく、「これ、どうやって実現したの」という疑問に対する答えや、課題とそれを解決する仕組みの説明を伴った情報発信が、シーズ技術のデビューには重要だ。

【プロフィル】瀧川淳

 たきがわ・あつし 一橋大商卒。2004年にITスタートアップのエヴィクサーを設立し現職。08年以降、デジタルコンテンツ流通の隆盛をにらみ、他社に先駆けて自動コンテンツ認識(ACR)技術、音響通信技術を開発。テレビ、映画、舞台、防災などの分野へ応用し、「スマホアプリを使ったバリアフリー上映」「字幕メガネ」を定着させる。40歳。奈良県出身。

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