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三菱自、257億円最終赤字に転落 20年3月期、コロナ前から業績不振

 三菱自動車が19日発表した2020年3月期連結決算は最終損益が257億円の赤字(前期は1328億円の黒字)となり、燃費不正問題があった17年3月期以来、3年ぶりの最終赤字に転落した。19年4~12月期が最終赤字だったところに、新型コロナウイルスで主力市場の東南アジアを含めた世界的な販売減が直撃した。10円の予定だった期末配当は見送る。21年3月期の業績見通しは未定とした。

 20年3月期の売上高は前期比9.7%減の2兆2702億円、本業のもうけを示す営業利益は88.6%減の127億円。世界販売台数は9%減の112万台だった。

 電話による決算会見で加藤隆雄最高経営責任者(CEO)は「コロナ前から、収益を上げられる地域が限られていた。選択と集中をさらに加速する」と述べ、15年度比で1.3倍に増えた固定費の削減など構造改革に最優先で取り組むとし、「まずはアセアンに経営資源を集中する」と強調した。固定費は21年度までに現在より20%削減することを目指す。

 新型コロナの影響では、同社の海外工場で最大のタイやフィリピンで生産を停止。3月下旬からは国内工場も一時停止している。

 このため、すでに今年度の1年間、益子修会長や加藤氏ら経営幹部の役員報酬を一部減額することを決めている。

 三菱自は16年に発覚した燃費不正問題でブランドイメージが低下したが同年、日産自動車から34%の出資を受け、仏ルノーも含めた企業連合に入り、経営を再建した。だが、日産も米国での高コスト体質など構造改革の課題を抱える中、20年3月期は赤字が確実で、企業連合としても厳しい状況を迎えている。(今村義丈)

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