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コロナ危機踏まえた通商政策を議論 「自国優先」に懸念相次ぐ

 経済産業省は26日、新型コロナウイルスの感染拡大による経済状況の変化を踏まえた通商・貿易政策のあり方に関する有識者による議論をスタートさせた。新型コロナ収束後の「新常態(ニューノーマル)」について、各国が自国を過度に優先し、保護主義的な動きを強める懸念を示す声が多く出た。デジタル化がさらに進展するという見方も強く、制度整備の必要性を指摘する意見が目立った。

 産業構造審議会の通商・貿易分科会を新型コロナ蔓延(まんえん)後初めて開催。インターネットを通じて委員がそれぞれの主張を述べた。

 世界貿易機関(WTO)の集計では、80カ国・地域がマスクや防護服、食品などの輸出制限を実施。新型コロナ収束後も、こうした動きが続くことが懸念されるが、委員からは「自由で開かれた国際秩序を変えてはいけない。日本は正論を言い続けるべきだ」との意見が出た。中国からの部品供給が断たれ、国内の自動車生産に影響が出てサプライチェーン(部品などの供給網)の再編機運が高まっていることに関しては、「国内に回帰すればいいというものではなく、これまで以上に供給国の多元化を進めることが重要だ」との声が上がった。

 感染拡大の責任を追及する米国と中国との対立などを背景に、「国家間の分断という大きなリスクを回避することが求心力になる」との指摘が出て、経産省幹部も「橋渡し戦略で、日本が何を提示するかが大事になる」と強調した。

 「人の往来が不自由になれば、データの移動はより活発になる」などと、デジタル化進展への対応が急務だとする意見が多かった。

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