スポーツi.

情報通信技術が実現する多様なスポーツ観戦スタイル (1/2ページ)

 新型コロナウイルス感染症の拡大が収束の気配を見せない。自然災害ならばここで、スポーツの力で人々を元気づけよう、となるのだが、いまはそのスポーツでさえ、混沌(こんとん)としている。最も恐れるのは、プロ球団の経営破綻である。事実、その危機的状況の前触れを報道するニュースもある。(フリーランスプランナー・今昌司)

 ライブ以上の魅力を

 一方、在宅勤務や遠隔授業などで社会は動き続けている。ICT(情報通信技術)の進化によるオンラインを活用した取り組みが社会全体に広がっているのだ。テクノロジーの進化は、ある特定の分野や、特定の人たちだけに恩恵があるもの、という概念を持っている人は意外に多いのかもしれない。

 しかし、いや応なく在宅勤務を強いられ、テレビ会議システムで打ち合わせに参加し、SNS(会員制交流サイト)で会話する。年齢や性別を問わず、そんな日常を経験する人たちが増えることで、進化したテクノロジーの恩恵を、もっと広げよう、もっと知ろう、という機運が“アフター・コロナ”でやってきたとき、一気に拡大していく気がする。

 スポーツにテクノロジーを生かした取り組みやビジネスが拡大し始めたのは、それほど昔のことではない。単に試合中継の視聴スタイルの変化(動画配信サービスなど)だけではなく、試合そのものの価値を変えていく演出シーンの創造や試合会場施設の運営情報をリアルタイムで管理することなど、テクノロジーの応用例は数限りなく見られる。

 そうした中で、コロナ禍で無観客でしか実施できない試合開催を、いつものライブ観戦以上の魅力を付加してオンラインでファンに届けられれば、プロスポーツ経営やイベント興行に新たな収入源を生み出すかもしれない、と一つの思いを抱く。いまこそ、スポーツ界はあらゆる業界を巻き込んで、最新のテクノロジーを取り入れた新たな価値の創造に動き出すべきだ。

 五官という言葉がある。目、耳、鼻、舌、皮膚の五感をつかさどる人間の器官のことである。テクノロジーを用いて攻略すべきは、この五官である。「生観戦以上の価値観はお茶の間にはない」とは、試合会場にファンを呼び込むためによく用いる言葉だが、いまのテクノロジーで、生観戦以上の楽しみ方をファンに提供することは難しくない。

 肉眼では見えないコンマ何ミリの映像を映し出したり、人の耳には届かない選手同士の会話が聞こえたり、目の前に試合の模様が立体映像として浮かび上がったり、観客席に漂う匂いが心地よく感じられたり、望むならば極寒のスタンドの凍える感覚すらリアルに味わうことも可能かもしれない。

 その場にいなくとも、試合を観戦しているような感覚を、テクノロジーは間違いなく具体化する。

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