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医薬品のドローン配送に期待感 オンライン診療の規制緩和で“壁”に風穴 (1/2ページ)

 全国各地で小型無人機(ドローン)を使った医薬品配送に向けた動きが進んでいる。処方薬の場合、医師の書いた処方箋を薬局に届け、薬剤師に対面で服薬指導を受ける必要がある。だが、新型コロナウイルスの感染拡大でオンライン診療が規制緩和され、一時的に自宅配送ができるようになったことで、この“壁”に風穴があいた。関係者はドローンによる医薬品配送への後押しになるとの期待を抱く。(織田淳嗣)

 「高齢者に需要高い」

 一級河川の吉井川沿いに険しい山々が連なる岡山県和気町。2年前から、ドローンで集落に食料品などを届ける実験を行っている。

 ドローンが吉井川上空を飛んで荷物を運ぶ集落は3つあり、昨年7月末現在で65世帯146人が居住。最寄りのスーパーまで13キロあったり、ふもとの吉井川との高低差が380メートルに達していたりと交通の便は良くない。車が運転できず、近所の人に運んでもらっている人もいる。

 同町まち経営課は「住んでいる高齢者は医者に行くだけで一日仕事になる。薬の配送需要は高い」と説明。実験はドローン活用を進める国の補助事業だが、今年度は新たに医薬品配送ができるよう、同町は県や国との協議を進めている。

 医薬品の運搬は、医師が処方しない一般薬についてはすでにドローンで運ぶことの規制はない。だが、処方薬の場合、患者や保護者は医師が書いた処方箋の原本を薬局に届け、薬剤師に対面で服薬指導を受ける必要があった。

 しかし現在、新型コロナ禍で一時的にオンライン診療の規制が緩和。この流れで、患者や保護者は直接薬局に出向かず自宅配送できるようになっている。

 そもそも今年9月から服薬指導はオンラインでできるようになることもあわせ、同町担当者は「一連の流れが、今後のドローンでの医薬品配送の弾みになれば」と期待。医薬品だけに取り違えなどが起きないようにすることが重要で、今後は本人に確実に届ける仕組みづくりにも取り組む。

 離島の生活守るため

 一方、規制はないとはいえ一般薬のドローン配送も発展途上だ。

 大分県では今年3月、離島に一般薬を届ける実験を始めた。津久見市の市街地から北東に16キロ離れた「無垢島(むくしま)」。人口35人で、居住者の7割以上が65歳以上の高齢者だ。本土とは市が運航する客船で片道30分。飲料水も運ぶライフラインで1日に1~2便を運航しているが、水曜日は運休。

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