未来への羅針盤

野菜収穫ロボで世界を目指す

 inaho、改良重ねて対応作物拡大

 農業において最も人手とコストと時間がかかるものが収穫。しかも腰をかがめての作業が多く、年齢に関係なく腰への負担が大きい。この収穫作業をテクノロジーで変えようとしているのが、ロボットベンチャーのinaho(イナホ)だ。人工知能(AI)技術を用いた自動野菜収穫ロボットを開発した。

 イナホの収穫ロボは全長91センチ、幅40センチ、高さ1メートル。家庭用コンセントで充電でき、7時間連続稼働する。

 あらかじめ圃場(ほじょう)に敷いたライン上を走行。内蔵するAIを活用した画像認識により果実や葉、枝などを判別する。赤外線センサーでアームと果実との距離を測定後、アームを伸ばして収穫し、かごに入れる。収穫ロボの底部にライトを搭載し、夜間でも作業できる。

 現在はアスパラガスの収穫に対応しており、1本当たり約12秒で収穫できる。改良を重ね、トマトやキュウリ、イチゴなど目視が必要な野菜を中心に対応作物を広げる考えだ。

 イナホの強みは機器、稼働ソフトともに全て自社で手掛けていること。迅速にメンテナンス対応ができる。さらに、収穫ロボをレンタル形式で提供しているため、「(自社点検で)新たなソフトウエアの導入や、消耗部品の交換時期を把握でき、農家は常に最新の状態で収穫ロボットを利用できる」(大山宗哉・最高執行責任者=COO)という。農家にとっても、収穫ロボを一括購入するとなると多額の資金が必要になるが、レンタルのため初期費用はゼロ。使用料は、収穫高の一部を支払えば済む。

 2019年1月、佐賀県鹿島市に拠点を設け、同秋から収穫ロボのレンタルを始めた。今年1月には佐賀市にも拠点を開設。今後は野菜の栽培が盛んな関東や四国にも拠点を構え、22年には約1万台の提供を目指す。

 農林水産省の農業構造動態調査によると、19年2月1日現在で、農業従事者に占める70歳以上の割合は42.0%、60歳以上を含めると80.3%に上る。農業従事者の平均年齢は70歳に迫るだけでなく、農業従事者数も年々減少が続く。05年に224万人だった従事者数は、19年に140万人まで減少。さらに30年には99万人と、100万人を下回る見通し。少子高齢化に伴う生産人口の減少で、収穫ロボの利用シーンが広がるとみられている。

 もっとも、生産人口の減少は日本だけでなく、どの先進国でも共通の課題だ。イナホには海外からの視察も少なくない。大山COOは「ロボットの普及で単純作業を減らせる。収穫の自動化ニーズはどの国にもある」と、海外展開を見据える。(松村信仁)

【会社概要】inaho

 ▽代表=菱木豊氏、大山宗哉氏

 ▽本社=神奈川県鎌倉市材木座4の10の14

 ▽設立=2017年1月17日

 ▽資本金=1億円(資本準備金含む)

 ▽売上高=非公表

 ▽従業員数=25人

 ▽主な事業=野菜生産者向け自動野菜収穫ロボットのレンタル▽ミッション=時間をつくり選択肢と可能性を届ける

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