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データ主義社会 AIの目でがん見落とし防止 医師と共同診断 判定精度向上

 医師の目視検査でのがん見落としを防止しようと、医療現場への人工知能(AI)の導入が進んでいる。病変がある画像データを大量に解析したAIと医師が連携すれば、発見確率の向上が期待できる。政府もAIを搭載した医療機器の承認を加速している。実際にAIの目で記者の体を診察してもらった。

 「AIの診断です。まだ小さいですが脳動脈瘤の疑いがあります」。脳の血管を写した画像の上に2カ所、黄色い丸印が表示された。左目の奥4センチの場所に直径約2ミリの白い塊があった。人の目では他の部分と区別するのが難しいという。

 広島市の霞クリニックはAIも活用し、脳動脈瘤や肺がんの画像検査を導入している。システムは医療用AI開発会社「エルピクセル」(東京)が開発した。島原佑基社長は「医師だけで診断するより、AIを併用した方が発見できる確率が約10%上がった」と話す。昨年、脳動脈瘤の画像検査は、国から医療機器の承認を受けた。

 検査は、磁気共鳴画像装置(MRI)を使って脳を輪切りにするように撮影する。「ここに小さなこぶがあるでしょう」。霞クリニックの北村直幸院長が説明する。血管はまっすぐなら正常だが、脳動脈瘤の場合は一部が突き出ている。

 同クリニックは2人の医師が最初に画像を診て、AIによる結果と照合し最終判断する。北村院長は「医師1人では気付かないこともある。経験が浅く専門外の医師が診断するときにはAIのサポートは大変有益だ」と話した。

 肺もAIに診てもらった。肺がんのリスクがある印が五つ以上表示された。素人の目では他の血管と区別できない。「昔たばこを吸っていましたね。そういう人はたくさん印が付きます。でもこれは形が違うのでがんではありません」。がんの可能性がある箇所を一つ一つ医師が最終的に診断していく。

 実際にAIに診てもらった感想は、脳動脈瘤の疑いが見つかってショックだったが、医師による詳しい説明があると安心できた。北村院長は「医師だってAIだって間違うことがある。双方が補い合いながら共同作業することでよりよい診察ができる」と語る。厚生労働省も昨年、有識者懇談会で保健医療分野へのAI活用に向けた報告書をまとめた。国民に質の高い医療サービスを提供するため「ゲノム医療」「画像診断支援」など重点6領域を選定し、ルールの整備を進めている。

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