金融

株主総会、31社が時期未定 JPX集計 コロナでIT化加速

 新型コロナウイルスの感染拡大が日本企業の株主総会の形を変えつつある。日本取引所グループ(JPX)は3日、3月期決算の上場企業のうち31社が定時総会の開催時期を「未定」などとして延期すると発表した。7月以降の開催も20社に上る。感染拡大による決算作業の遅れが響いた。インターネットによる動画配信など、新たな手法も広がりをみせている。

 5月末までに開催予定日を明らかにしている2278社を対象に集計した。7月に開催する企業は16社。8月に予定する企業も4社ある。最集中日は6月26日で、全体の3分の1を占める。

 企業にとって、総会は株主との大切なコミュニケーションの場だが、多くの投資家が出席すれば密閉、密集、密接の「3密」が生じる。対話と3密回避を両立させようと、今年は事前の議決権行使を促した上で、来場しない株主向けにネットで動画を配信する「バーチャル総会」を実施する企業が出てきた。

 このうちカプコンは17日にバーチャル総会を予定する。会社法上の「出席」には当たらないため、ここで議決権行使や質問はできないが、中継動画を見ながら会社に対してコメントを送れる仕組みを導入した。みずほフィナンシャルグループなどもバーチャル総会を予定する。

 ソフトバンクグループ(SBG)の総会は全役員がネットの会議システムを通じた「リモート出席」となる。例年は孫正義会長兼社長目当てに来場する株主も多いが、今年は会えない。

 三井住友信託銀行証券代行コンサルティング部の斎藤誠部長は「新型コロナの感染拡大によって、総会のIT化は加速しそうだ。お土産廃止の動きも広がっており、企業価値向上に向けて議論する本来の目的に沿った形に変わる潮目になるだろう」と話している。(米沢文)

 

新型コロナを踏まえた株主総会の対応

 カプコン       総会の中継動画を配信

 イオン        入場を100人に制限、中継動画を配信

 ソフトバンクグループ 全役員がリモート出席

 日本航空       来場者は事前登録

 トヨタ自動車     最寄り駅から会場への送迎バス廃止

 雪印メグミルク    会場を札幌市から東京都内の本社に変更

 日立製作所      7月下旬以降に延期

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus