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制裁関税で中国消費者にツケ 豪州産大麦の影響でビール価格の押し上げに

 中国政府が5月中旬からオーストラリア産大麦に対し高い関税を課したが、中国にはその後も豪州産大麦が輸出されている。中国はビールの消費で世界第1位。高い関税により中国国内のビール価格は押し上げられ、そのツケを払うのは消費者だ。

 中国は豪州産大麦に対し合計で80%を超える反ダンピング(不当廉売)関税と不当な補助金を相殺する関税を課している。ブルームバーグのまとめによると、既に関税発動後1隻目となる貨物船が大連港まで豪州産大麦を輸送。これに続き豪州産大麦を積んだ中国向け貨物船は少なくとも3隻以上あるという。

 高い関税がかけられる中でも中国の豪州産大麦の輸入がなくならないのは、豪州産大麦の品質が極めて高いからだ。北京東方艾(がい)格農業諮詢のアナリスト、馬文峰氏は「高級ビールメーカーはビールの風味が向上する高品質の豪州産を好むのでバイヤーは購入を続けざるを得ない。コスト上昇分は消費者に転嫁すれば済む。中国産大麦は品質基準を満たさず、中国が醸造用に輸入する大麦は200万~300万トンに上る」と話す。

 また、通関前の輸入貨物を保管する保税倉庫の存在も豪州産大麦の輸入がなくならない原因の一つとみられる。中国の農業専門調査会社、上海JCインテリジェンスのアナリスト、シー・ウェイ氏は「中国人バイヤーは以前、保税倉庫で米国産のソルガム(モロコシ)に乾燥蒸留かす(DDGS)を配合し、課税対象ではない家畜用飼料として中国市場で販売した経緯がある」という。

 他にも、豪州産大麦の輸入が続いている理由として、北京拠点のコンサルティング会社、BRIC農業集団のシニアアナリスト、リン・グゥオファ氏は中国で「トーリング取引」と呼ばれる手法の存在を挙げる。この手法を活用すれば、一定の輸出許可を持つ企業が豪州から大麦を購入し、発酵させて麦芽にした後、課税されることなく海外に販売できるようになるという。

 それでも業界団体は、中国政府が関税を課したことで2017年には14億豪ドル(約1070億円)規模だった豪州の輸出市場は大幅に縮小すると警鐘を鳴らす。中国へ向かっていた貨物船の中にはアラブ首長国連邦(UAE)や日本などに目的地を変更したものや、積み荷を大麦から菜種に変更したものもある。(ブルームバーグ Ainslie Chandler、Niu Shuping)

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