山本隆三の快刀乱麻

孫氏投資のビル・ゲイツ・ファンド 再生エネ常時利用技術を推進 (1/3ページ)

 フォーブスの世界富豪ランキングでは、アマゾン創始者のジェフ・べゾス氏に次ぐ世界第2位、約1000億ドル(約10兆7700億円)以上の資産を保有するビル・ゲイツ氏は、慈善活動に熱心なことでも知られている。彼の大きな関心は世界の貧困の撲滅にある。そのため、最貧国における飢饉(ききん)、栄養失調などの健康問題にも深い関心を持ち、新型コロナウイルスの影響が拡大する前から専門家に会い、話を聞いては新型感染症の拡大に備えるように警鐘を鳴らしていた。感染症が広がれば大きな被害を受けるのは、備えがなく、十分な治療を受けられない最貧国の人たちだからだ。

 電源開発に注力

 彼が健康問題と同様に関心を持っているのが、エネルギー問題だ。世界に10億人といわれる電気がない生活をしている人に安価な電気を安定的に届けることが、自給自足経済の最貧国が発展するためには必須だと考えているからだ。自給自足経済の最貧国の人たちは、温暖化が進めば農業に大きな影響を受けることから、ゲイツ氏は温暖化の問題にも関心を持ち、温室効果ガスを排出しない競争力のある電源の開発に力を入れている。

 まず手掛けたのは、原子力発電だ。2005年から原子力技術の検討を始めた。その結果、廃棄物である劣化ウランを利用した新技術であれば、安全性に優れ、廃棄物を生まず、核拡散も引き起こさない原子炉を作りあげることが可能になると考えた。新型炉の開発と実用化を図るテラパワーを08年に設立し、会長を務めている。

 ゲイツ氏は再生可能エネルギーにも力を入れている。特に天候次第で発電量が変わり不安定電源となる太陽光、風力発電の電気をいつも使えるようにする技術に関心を示している。

 ゲイツ氏が、再生エネと原子力に力を入れるのは、現状の技術を前提にすると再生エネだけでは、電気料金が大きく上昇するからだ。安定的に安価な電気を供給するには、エネルギーを組み合わせることが重要とゲイツ氏は考えている。

 仮に将来、再生エネの電気を安価、安定的に供給するための新技術が実現すれば、二酸化炭素を排出しない電気のコスト下落が実現する。

 エネルギー問題を解決するのは、原子力と再生エネの新技術と考えるゲイツ氏が中心になって15年に設立された革新的エネルギーベンチャー(BEV)と呼ばれるファンドだ。成果を出すには10年単位の時間が必要な息の長い技術開発に投資するファンドだ。

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