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孫節復活ソフトバンクG総会 「業績への自信は深まった」

 「データ情報革命は何が起きても変わらず伸びていく。業績への自信は深まった」。総会で孫正義会長兼社長はこう力強く語った。

 同社は新型コロナの影響などを受け2020年3月期連結決算では最終損益が9615億円の赤字に転落。しかし、世界的に株価が回復する中、投資先企業の株価も上昇。昨年12月時点で約29兆円あった資産は3月末に約1兆円目減りしたが、6月24日の時点で30兆円と、コロナ前の水準を超えたからだ。

 同社の投資先は人工知能(AI)などに強みをもつ新興企業。コロナ後はネット通販やテレビ会議など、ITを活用した新しい日常の定着が見込まれており、株価の戻りも他の銘柄と比べて早かった。

 総会では、5月に行われた決算会見の時とは一変して晴れやかな表情で、ジョークも交えながらの“孫節”が戻ってきた。決算発表の時に、神妙な顔をしていたことについては「新型コロナで世界の多くの人が苦しんでいるのを嘆き悲しんでいたからだ」と強弁した。

 理化学研究所の新型スーパーコンピューター「富岳(ふがく)」がスパコンの性能を競う世界ランキングで首位となったことも、同社にとっては大きなプラス材料だ。富岳の心臓部の中央演算処理装置(CPU)には、傘下の英半導体開発大手アーム・ホールディングスの製品が使われているからだ。アームの製品は米アマゾンのサーバーにも採用されているといい、アームの価値は「来年、再来年と一気に加速して伸びると確信している」とした。

 株主からの質問にも、強気の発言で応酬。巨額の損失を出した米ウィーカンパニーの責任を問われると「反対を押し切ってやった私に最大の責任がある。報酬は減俸したうえで、全額寄付しており、SBGからの報酬はゼロだ」と弁明。約10兆円を運用する「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」が投資する88社の今後については「成功しそうな15社は見えてきた」と述べた。

 配当が低いとの指摘には「当分配当なんて期待しないでほしい。同じ株主還元として自社株買いを発表した」と説明。役員報酬が高すぎるという声には「これからも大いに払っていきたい。日本は逆に少なすぎる。総サラリーマン化して大企業がどんどん力を失っている。リスクを取りに行った幹部には、成果が出たときに分配する」と持論を展開した。(蕎麦谷里志)

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