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マイナポイントの申請受付が7月1日から開始 決済事業者の争奪戦も

 マイナンバーカードを使った政府のポイント還元策「マイナポイント事業」の申し込み受け付けが7月1日から始まる。6月末までのキャッシュレス決済に伴うポイント還元に続く「第2弾」で、25%という高い還元率が特徴だ。事業開始は9月からだが、事前にマイナンバーカードの準備や申し込みが必要な点が第1弾と異なる。また、登録できる決済サービスは1人につき1つと決まっており、事業者による利用者の争奪戦も始まっている。

 マイナポイント事業は、マイナンバーカードにあらかじめキャッシュレス決済サービスを登録しておくと、決済やチャージをしたタイミングで25%分のポイントが還元される。来年3月末まで実施し、還元ポイントは計5000円分という上限がある。

 もともとは東京五輪後の消費の落ち込みを防ぐことがねらいだった。「五輪は延期されたが、コロナ禍で消費を下支えしなければならない状況は変わらない」(総務省担当者)ため、予定通り9月から始める。消費喚起とマイナンバーカードの普及、キャッシュレス決済の推進という“3兎を追う”政策だ。

 ただ、政府の思惑通りに進むかは見通せない。還元の前提となるマイナンバーカードの交付枚数は6月28日時点で約2212万枚。国民の17・4%にとどまる。政府は予算を決める中で4000万人がマイナポイントに参加するとみているが、マイナンバーカードの新規交付は10万円の定額給付金で申請が増えた月でも160万枚といい「倍のペースで申請がないと届かない」(担当者)とみられる。

 さらに、還元を受けるには事前に決済手段を選び、マイナポイントのサイトで「予約」と「申し込み」という2段階の手続きを行う必要がある。パソコンやスマートフォンがない人のために郵便局やコンビニなどでも手続きができるようにするが、高齢者らが取り残される懸念は残る。

 一方で、決済事業者による顧客争奪戦も予想される。事業者にとっては一定額の利用が計算できるうえ、その後もメインの決済手段として定着が期待できるからだ。すでにQRコード決済のメルペイやauペイなどが、政府のポイントに独自ポイントを上乗せするキャンペーンを発表。ある関係者は「各社の戦略が出そろうまで、申し込みは少し待った方がいい」と話している。(蕎麦谷里志)

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