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観客に会えるまで…公演配信は「つなぎ」 ライブハウス支援継続訴え

 新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念される中、無観客公演の配信に注目が集まっている。大阪府は「3密」の条件がそろいやすいライブハウスのほか、漫才や落語といった「小屋文化」を担う演芸場などを支援するため、配信費用の一部を補助。府外では大物バンドが興行的に成功を収め、可能性が広がるかにみえるが、専門家は「通常公演再開までの『つなぎ』」として、事業者への支援継続が不可欠と訴えている。(尾崎豪一)

 大阪府は最大70万円

 大阪府は、無観客公演の動画を配信するライブハウスや劇場、演芸場などの小規模施設に最大70万円を支給。これまでに200件以上の申請があり、補助金受給が決まった施設は130件を超えた。

 ライブ・エンターテインメント市場の統計調査を行うシンクタンク「ぴあ総研」の笹井裕子所長は「ライブハウスは過去にクラスターが発生したため、足を運ぶことをためらう人が多い。支援は必要だ」と評価した。一方で「無観客公演は、来場者を伴うライブ再開までファンとアーティストをつなぐ役割だ。ライブの代わりにはならない」とも話す。

 販売額7割減の試算

 ぴあ総研によると、音楽ライブやステージ公演の市場規模(チケット推計販売額)は平成22年に3159億円だったが、昨年は6295億円(速報値)にまで成長した。

 しかし、コロナ禍で事情は一変、公演の中止・延期だけでなく、感染症対策による客席の大幅減などの影響で、今年の販売額は昨年比7割減の1836億円と試算されている。笹井氏は「中小事業者やフリーランスが中心で、財政基盤が弱い業態を新型コロナの感染拡大が直撃した」と懸念する。

 新型コロナの影響で、不特定多数が密集する場所は敬遠されがちだ。「東日本大震災以降、リアルに会って感動を共有できるスタイルが市場価値を引き上げてきたが、コロナ禍でライブの楽しみ方そのものの見直しが迫られている」。笹井氏はこう指摘する。

 サザン18万人「動員」

 もっとも、無観客動画の配信で成功した大型ライブもある。

 人気バンド「サザンオールスターズ」はデビュー42周年を迎えた6月25日、横浜アリーナ(横浜市)で無観客のライブ演奏を行い、有料配信した。約18万人が3600円のチケットを購入し、実際のライブに匹敵する売り上げがあったという。

 ただし「これだけの実績をあげられるアーティストは限られる」と笹井氏。市井のアーティストが自宅で撮影、配信した無料動画を引き合いに、「視聴者から対価を得ようとすれば一定の質が求められる」と説明する。

 コロナ禍以前の形態で営業再開ができず、経営の危機に直面している事業者は少なくない。笹井氏は「事業者にとって経営を継続できるかは死活問題であり、行政などによる手厚い支援が必要だ」と語った。

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