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道産植物香るクラフトジン誕生 農業法人が遊休地で原料栽培

 北海道産の植物が香るご当地ジンが6月、誕生した。2018年に設立された農業法人「積丹スピリット」が過疎化の進む積丹町の遊休農地を活用し、原料となる植物の栽培から蒸留までを手掛ける。同社の岩井宏文社長(50)は「積丹半島の山中を歩いているような、青々とした力強い風味に仕上がった。世界中の人に味わってもらいたい」と期待を込める。

 ジンはライ麦や大麦など穀物を原料とした蒸留酒で、ジュニパーベリー(ネズの実)をはじめとした植物で香りを加える。作り手によって風味が異なり、素材や製法にこだわったクラフトジンが近年、世界的なブームとなっている。

 積丹町でのジン作りは16年、国の地方創生推進交付金を使った事業として始動した。農業コンサルタント会社を経営する岩井社長を含め、経験者はゼロ。手探りでの開発は、香り付けに使える道産植物の調査から始まった。

 専門家と山を歩き候補となる植物を選定。目を付けたのは全道各地に自生し、乾燥させるとかんきつの香りがするアカエゾマツの新芽だった。東京の有名バーテンダー監修の下、酒類総合研究所(広島県)の協力を得てさまざまな植物と配合し試験蒸留を繰り返した。選んだのはミヤマビャクシンやキタコブシなど道産の植物10種類以上。できあがったジンは「火の帆 KIBOU」と名付けた。販売価格は500ミリリットル入りで5940円。

 クラウドファンディングなどで資金を集めて完成した蒸留所には試飲スペースも併設。町の遊休農地5ヘクタールで植物約80種類を栽培、将来的に農業体験の受け入れも計画中だ。近隣の余市町にはニッカウヰスキーの蒸留所があり「小樽市のワインなどと一緒に酒街道のような観光プランができれば」と岩井社長。ジンは少量生産で順次公式オンラインショップで販売する。

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