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世界のダイヤ2強が価格維持に苦慮 需要減も値下げせず業界を下支え

 ダイヤモンド原石の取引は、世界最大級のダイヤモンド生産会社、英デビアスと、競合するロシアのアルロサの2社が販売条件を用いて市場を厳重にコントロールしてきた。だが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う業界全体の混乱から数十年続いてきたこの体制が崩壊し始めている。

 デビアス販売会不調

 デビアスやアルロサのダイヤモンド原石を購入できるのは、両社指定の顧客リストに記載された業者のみで、購入者は年10回、1週間にわたって開催される販売会で割り当てられた原石を指定された金額で購入することなどの販売条件を満たす必要がある。

 買い手の興味をかき立てようと苦慮するデビアスは、通常、アフリカのボツワナで開催する販売会を、6月にはダイヤの取引が盛んなベルギーのアントワープなどに開催地を移した。さらに開催期間も3週間に延長可能と顧客に伝えたものの、80組余りの顧客の中で訪れたのはごくわずかだった。

 ただ、顧客が購入を遅らせることを罰則なしで受け入れるなどの同社の対応は顧客に好評だ。従来は販売条件で割り当てられた原石の購入を拒否すればその先購入できる数を減らされ、顧客リストから外される可能性もあった。

 他方、柔軟に対応するデビアスと比べ、販売条件を守り、割り当て分の購入を求めるアルロサには買い手から抗議の声が上がっている。関係者によると、顧客の側も厳しい資金繰りが続き、4月に富豪のスタインメッツ家所有の業界最有力の仲介会社、ダイアコアを含む2社が長期契約を終了した。このほか、5月にもアントワープを拠点とするアルジャブ・ダイヤモンズなど3社がアルロサとの契約を打ち切った。

 アルロサの販売責任者、エブゲニー・エイギュレーブ氏は「当社の販売方針は顧客、業界双方から厚い支持を得ている。価格の安定は顧客が保有する在庫の価値が下落するのを防ぎ、ひいては財務の健全性の鍵となる。問題なのは価格ではなく、外出自粛により大きな打撃を受けた需要だ」と話し、価格調整の必要はないとの見解を示した。

 在庫は数十億ドル規模

 デビアスとアルロサは大幅な減収が見込まれるうえ、在庫も数十億ドル規模に積み上がっており、この先の市場の回復に悪影響が出そうだ。そうした中で両社は、ダイヤの市場価格下支えに値下げには断固として応じていない。ただ、困窮する同業の小規模企業が価格を25%も引き下げており、バイヤーは一定量までであればこの価格での購入が可能だ。

 コンサルタント会社ジェムダックスのパートナー、アニッシュ・アガルワル氏はこの状況を「デビアスとアルロサはダイヤの価値を守ろうと誠意をもって対応しているものの、前例のない経済の状況に売り手と買い手の双方が戦略的に行動する余裕を失っている」とみる。

 今後、大手2社も価格を下げたい誘惑に駆られるかもしれないが、決断には複雑な要素が絡む。コンサルティング会社のリベラムのアナリスト、ベン・デイビス氏は「大手2社が現時点で価格を下げれば価格はドミノ倒しで崩れる。そうなれば大手だけでなくダイヤ産業全般に影響が広がる」と指摘する。(ブルームバーグ Thomas Biesheuvel、Yuliya Fedorinova)

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