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最後の砦の高級ブランド失う 世界的に新聞・雑誌各社が広告費削減受け窮地

 高級ブランド各社は新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化への対応策として紙媒体向け広告費の大幅削減に乗り出した。既に広告収入が伸び悩んでいた一部の新聞・雑誌各社は有力広告主の“最後の砦”とされる高級ブランド業界を失い窮地に追い込まれている。

 紙からネットに移行

 高級ブランドは新聞や雑誌業界の広告に多額の予算を講じる数少ない業界の一つだったが、今回のパンデミック(世界的大流行)を受け、広告予算を大幅に切り詰めている。マーケティング会社デジタル・ラグジュアリー・グループ(DLC)によると、高級ブランドは広告予算を30~80%削減している。コロナ禍でインターネットショッピングが一躍消費の主流となる中、その広告も紙媒体からネット媒体へのシフトが進む見通しだ。

 広告費のデジタル分野へのシフトは危機前から起きていた。仏ピュブリシスグループのメディアエージェンシーであるゼニスによると、昨年の欧州の高級ブランドによる29億ドル(約3120億円)の広告費のうち、新聞や雑誌に割り当てられたのは26%にすぎなかった。

 DLCのデイビッド・サーダイ最高経営責任者(CEO)は「高級ブランドによる紙媒体広告への支出がパンデミック以前と同水準に戻るかどうかは誰にも分からない。コスト削減の観点から、既にデジタル媒体への投資のシフトが加速している。各社がネット通販を拡大し、消費者に直接訴求できる手段を模索する中、今後もこの傾向は続くだろう」と指摘する。

 「イヴ・サンローラン・ボーテ」「ジョルジオ・アルマーニ・ビューティー」などのブランドを擁する仏化粧品大手ロレアルグループは、広告費などの不要不急の支出を切り詰めている。

 消費者に直接到達できる方法を模索する英高級ブランド販売最大手バーバリー・グループは5月、以前とは異なる手法のプロモーションに切り替えていると話した。また、スイスの時計ブランド、ブライトリングによると、多くの消費者にとってネット通販が時計の唯一の購入手段となる中、同社はデジタルマーケティングへのシフトを図っているという。

 こうした動きは既に広告収入が減少傾向にあった新聞・雑誌をさらなる苦境に追い込んでいる。スイスの新聞社ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングは、時計メーカーによる広告出稿が減少したことで、多大な損失を被っていると話した。一部のブランドは店舗の営業再開に伴い広告出稿も再開するとしているものの、短期的な収入減は業界の窮状をさらに悪化させる見通しだ。

 バフェット氏も悲観

 ここ10年間で求人や不動産の広告などがネット媒体に置き換えられる中、資金難に苦しむ雑誌や新聞各社は人員削減や身売りなどの対応を迫られている。バファロー・ニュースやオマハ・ワールドヘラルドを含む活字メディア帝国を率いるウォーレン・バフェット氏は、広告収入の減少により大半の新聞が生き残れないとみている。

 英広告大手WPPのメディア購入部門であるグループ・エムでビジネスインテリジェンス部門のグローバルプレジデントを務めるブライアン・ウィーザー氏は「紙媒体のメディアはコロナ危機前から既に苦戦していたが、さらなる窮地に追い込まれる見通しだ」と指摘した。(ブルームバーグ Corinne Gretler)

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