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中国EVバブル崩壊か コロナ・対米摩擦・テスラ攻勢の三重苦

 世界最大の中国電気自動車(EV)市場に淘汰(とうた)の波が押し寄せている。関連技術の主導権確保を狙った手厚い政府支援の中で乱立した数百の地場メーカーは、米中摩擦や新型コロナウイルスの感染拡大に加え、米同業大手テスラの攻勢を受けて苦境に陥っており、中国のEVバブルは崩壊の淵にある。

 新興企業に淘汰の波

 全国乗用車市場情報連合会(乗連会)の崔東樹秘書長(事務局長)は「新興EV企業にとって資金調達は一段と厳しい状態だ。EVなど新エネルギー車(NEV)は大々的に普及していない。十分な食料がない寺院から一部僧侶を追い出さざるを得ないような状況だ」と話す。

 中国EV市場が縮小する中、テスラはわずか半年間に上海の新工場で人気車種「モデル3」を量産し、EV販売番付でトップに躍り出た。乗連会の8日の発表によると、6月のNEV販売台数は35%減の8万5600台に沈んだが、テスラの同月の販売台数はEV全体の25%近くに達した。テスラはブランド力を武器に富裕層の支持を獲得している。

 テスラの現地生産に伴い多くの新興EV企業の業績は悪化した。コンサルティング会社オートモビリティ(上海)のビル・ルッソ創業者兼最高経営責任者(CEO)によると、EVの開発に携わる地場の新興企業およそ100社のうち、昨年資金調達に成功したのはわずか11社にとどまったという。

 手元資金の乏しい中国勢の苦境は厳しさを増している。先週には拜騰汽車(バイトン)が新型コロナ感染拡大の影響を理由に国内事業を今月1日から半年間停止すると発表した。今年に入って事業停止に追い込まれた大手新興EV企業は、博郡汽車と江蘇賽麟汽車に続いてバイトンで少なくとも3社目となる。

 バイトンと博郡汽車が直近の資金調達ラウンド直後に市場の厳しい現実に屈したことは、この資本集約的なビジネスの過酷な性質を示している。

 投資家は先行き悲観

 ベンチャーキャピタル投資会社、明勢資本の創業パートナー、黄明明氏によると、多くの投資家は新興EV企業の先行きに悲観的だ。インターネット、ハイテク関連企業に比べ、新興EV各社は初期投資が大きい上、成長率の予測も低い点にうんざりしているという。

 バイトンは注目を集めた有力新興企業の一つだが、これまでに販売実績はない。7月に入り国内事業を停止し、従業員を一時帰休させた。同社は退職者を募り、未払い給与支払いに尽力していると説明している。

 一方、乗連会の崔氏は、NIOや威馬汽車、小鵬汽車のように販売実績のある新興企業は、製品開発段階とさほど変わらない企業に比べると相対的に良い状況にあると話す。今年、地方政府から10億ドル(約1070億円)の追加資金を確保したNIOは6月に過去最多の3740台を販売した。

 対照的に、生産開始前の新興企業はさらに大きなリスクを抱える。事業立ち上げにはなお巨額の資金が必要で、そのために合併や資産売却の動きが加速する可能性があるという。

 ルッソ氏は「資本の乏しい多くの地場EV企業が、ごくわずかな顧客の争奪戦をしている。統合は避けられない」と話した。(ブルームバーグ Sharon Chen、Tian Ying)

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