IT

院内感染防止 患者の要望、スマホで気軽に ナースコールと使い分け、接触減

 新型コロナウイルス感染症の入院患者を受け入れる病院で院内感染を防ぐため、患者が自分のスマートフォンのチャットアプリを使って看護師とやりとりできるシステムの導入が進んでいる。接触を減らすだけでなく、看護師の業務効率化も期待できそう。患者からも「利用しやすい」と好評という。

 「買い物の依頼」「食事の量」「体温の入力」。患者がスマホでこれらの項目を入力すると、瞬時にナースステーションの端末に表示され、直接話すことなく患者の要望が伝わる仕組みだ。

 従来、患者はナースコールで看護師を呼んで用事を伝えるのが一般的だが、新型コロナの大規模な院内感染が起これば、外来や救急患者の受け入れ停止など深刻な影響が出る。そのため多くの病院では、病室への看護師の出入りを制限し、病室へ入るたびに防護服を着脱するようになった。個室に隔離され生活を制限される患者とのコミュニケーション手段の確保が問題となっていた。

 開発したのは看護師経験がある沢田優香さん(32)が立ち上げた「OPERe(オペリ)」(東京)。自身の出産で入院した際、連絡方法がナースコールしかない現状に不便を感じ、新たなツールを模索していた。そこにコロナ禍が襲い、接触機会を減らさなければならないコロナ患者向けに特化させようと考えた。

 アプリの項目は、沢田さんが病院に聞き取りをしてニーズが高いものを抽出。東京都世田谷区の日産厚生会玉川病院では、5月にアプリを試験導入して以降、患者から要望が来ると食事などの機会にまとめて対応できるようになった。

 看護部長、高橋由美子さんは「接触を減らし職員の安全を守りながら、限られた時間と資源で患者の状況や要求を把握する必要もある。緊急時はナースコール、そうでない時はアプリ、と使い分けられれば良い」と話す。

 実際に利用した患者からは「感染源の自分がちょっとしたことで看護師を呼ぶのはためらうので、アプリがあって助かった」との感想が寄せられた。高橋さんも「自分のスマホでできる手軽さがあり、頼みづらさの解消につながったのでは」と、アプリの効果に手応えを感じている。

 だが、要望が多すぎると、かえって看護師の業務量が増える可能性もあり、どうバランスを取るかが課題。沢田さんは「感染のリスクを抱えながら最前線に立つ看護師を支えられるように、改良を続けていきたい」と話している。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus