主張

日本人が月面へ 有人開発の未来図を描け

 1969年7月、米宇宙船「アポロ11号」のニール・アームストロング船長が、初めて月面に降り立った。米東部夏時間の20日午後10時56分、日本時間では21日午前11時56分だった。

 人類の歴史的偉業をテレビで見つめた子供たちの多くは、月へ、宇宙へ行ける日を夢見た。

 半世紀余りの歳月を経て、日本人飛行士の月面着陸が実現する運びになった。

 日米両政府が発表した月探査協力に関する共同宣言に、日本人飛行士の月面着陸が盛り込まれたのである。

 日本の宇宙開発にとって「大きな飛躍」の一歩となる。この機会に、人が宇宙へ行くことの意味や宇宙開発、惑星探査の意義について考えたい。

 米国は昨年5月、約半世紀ぶりに月面に人を送る「アルテミス計画」を発表した。2024年にはアポロ計画の12人以来となる米国人飛行士が月面に立つ。日本人の着陸機会は、その後になる。

 日本の有人宇宙開発は、米国が主導する国際宇宙ステーション(ISS)に参加することで、経験と実績を重ねてきた。米スペースシャトルの退役後は日本の「こうのとり」が大型物資の輸送を担い、若田光一さんは長期滞在クルーのキャプテンもつとめた。

 「はやぶさ」「はやぶさ2」による無人探査の技術では、世界をリードしている。

 日米の共同宣言に日本人の月面着陸が盛り込まれたのは、日本の宇宙技術と飛行士の技能が信頼され、期待されるレベルに達したことの証しでもある。

 しかし、月面着陸は日本の有人宇宙開発の終着点(ゴール)ではない。世界の宇宙開発、有人活動の主舞台が、月、そして火星へと移行していく中で、日本の存在感を高めることが求められる。

 はやぶさ計画で実証した高精度の離着陸技術を、有人探査でも生かしたい。月面探査車や居住棟の開発などでも日本の技術力を生かせるだろう。

 そのうえで、日本も自前のロケットと宇宙船で月や火星に人を運びたい。そう考えるのが自然な流れだろう。

 日本独自の有人ロケット、宇宙船について本格的な議論を行うべきである。月面着陸の先に、日本の有人宇宙開発の未来図を描き、国民に示すことが大事だ。

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