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「音で見える つながる 楽しむ」世界を

 エヴィクサー社長・瀧川淳

 「音にかかわるインターフェース」はヒト対ヒトから、ヒト対機械、ヒト対人工知能(AI)へとどんどん活用シーンを広げている。電話やテレビ会議のような離れた人同士のコミュニケーションはもちろん、ロボットやスマートスピーカーの音声認識も活況だ。

 エヴィクサーの音響技術は、大規模なデータ処理を伴うクラウドサービスや「字幕メガネ」と呼ぶメガネ型ディスプレー端末の字幕表示アプリケーションなどに加え、小型モジュール基板で提供する機会が増えている。そこには、IoT(モノのインターネット)やソサエティー5.0という表現で、各種センサーから取得される情報に注目が集まる傾向にあって、小型デバイスにも搭載しやすいマイクやスピーカーを有効活用する狙いがある。

 2018年4月に開かれた「ニコニコ超会議2018」では、「NTT超未来大都会」と題するブースで第5世代(5G)移動通信システム、AIなどさまざまな最先端技術がクリエーティブな企画とともに展示され、エヴィクサーも技術協力を行った。

 次世代のモバイルガジェットが大型ディスプレーや舞台上の進行に連動・同期する企画において、指先に乗るほどの基板サイズで音響通信機能の組み込みを実現した。新技術のプレゼンテーションという枠を超えて、新感覚や体感に訴える演出に開発当事者でも感動を覚えた。

 実際のところ、音響通信は他の最先端技術の展示をサポートする“裏方”だった。しかし、大人数が集まるイベント会場や多くのブース出展で想定される「モバイル回線、Wi-Fi(ワイファイ)、Bluetooth(ブルートゥース)などの混線や輻輳(ふくそう)を回避する」効果や、来場者向け展示の音に合わせてデバイスがリンクする機能は「直感的で、現場スタッフにも扱いやすい」という特長を再認識する成果を得た。とりわけ、スマートフォンとは異なり画面上で容易に設定調整ができない小型端末では、運用のシンプルさは有効だろう。

 ウォークマンは音楽を持ち歩くというコンセプトで世界中に受け入れられた。カラオケはマイクを身近な娯楽ツールにした。エヴィクサーの音響技術は、スマホの普及をベースに映画や舞台芸術のバリアフリー上映など「視聴覚の補助と拡張」に貢献してきた。今後さらに進化したウェアラブルデバイスやIoTデバイスが登場するだろうが、安心・安全という価値提供を含めて、「人々をより幸せにする音のインターフェース」を実現するため自社技術を磨き続けていく。

 (この項おわり。次回からとなりの法律事務所の沖崎遼弁護士が「危機に備える強靱(きょうじん)な法務整備」について解説します)

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【プロフィル】瀧川淳

 たきがわ・あつし 一橋大商卒。2004年にITスタートアップのエヴィクサーを設立し現職。08年以降、デジタルコンテンツ流通の隆盛をにらみ、他社に先駆けて自動コンテンツ認識(ACR)技術、音響通信技術を開発。テレビ、映画、舞台、防災などの分野へ応用し、「スマホアプリを使ったバリアフリー上映」「字幕メガネ」を定着させる。40歳。奈良県出身。

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