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ANA 国際線94%減収、拡大路線裏目

 ANAHDが四半期で過去最大の最終赤字となったのは、成長の牽引(けんいん)役のはずの国際線の収入が、新型コロナウイルスによる渡航制限の拡大で94%も減少したことが大きい。国際線の回復は2024年3月期末までかかると見込んでおり、ビジネス需要や訪日観光客増加を見込んだ国際線の拡大路線が裏目に出てしまった格好だ。同社は21年3月期中に約2550億円のコスト削減を進める方針だが、事業の多角化も待ったなしの状況だ。

 国内需要回復遅れ

 「8月には底を打つと思っていたが確実に遠のいている」。ANAHDの福沢一郎常務は国際線、国内線の需要回復が4月時点の予測よりも遅れるとの危機感を示した上で、「国際線は24年3月期末にかけて緩やかに回復する」と述べた。

 同社は国際線を成長の柱に据え、特に利幅の大きいビジネス需要を見込める欧米中心に拡大路線を展開。昨年はハワイに世界最大級のエアバスのA380を投入するなど観光路線にも注力し始めていた。しかしその矢先に新型コロナの直撃を受け、東京五輪・パラリンピックの延期も痛手となり、国内線以上の減収に見舞われた。

 新型コロナの影響は国際線で3年以上残ると見通す中、同社は短期的には減便による変動費の削減や役員報酬、夏季一時金の削減といったコスト削減を第一に進める。4~6月期には既に1625億円を削減。来年3月までにさらに900億円余りを削減する。

 中長期では、テレワークの普及でビジネス需要の弱含みが続くことを前提に路線や便数の見直しを進める。福沢氏は「今年後半から来年にかけて路線や便数の深堀りを行う」と述べた。福沢氏は「航空一本足打法から多分野に」とも述べ、人間の分身となるロボット「アバター」事業など航空事業以外で事業の柱を作ることも目標に掲げたが、現時点ではかなり厳しい目標といえそうだ。

 海外勢も経営悪化

 一方、海外の航空関連会社はANAHD以上に新型コロナの影響で苦境に立たされている。豪航空大手のヴァージン・オーストラリアが経営破綻したほか、デルタ航空など米航空会社は10社が政府融資を受けるなど資金調達が窮地に陥っている。航空機製造大手の米ボーイングは各国の航空会社から航空機の発注停止が相次ぐなど経営状態の悪化が続いている。(大坪玲央)

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