マネジメント新時代

中国が求めるテスラの役割は何か (1/2ページ)

 新型コロナウイルスの影響で世界の自動車メーカーは減産を余儀なくされたり、一部は工場閉鎖に追い込まれたりしている。このような環境下にて、電気自動車(EV)最大手、米テスラの積極姿勢が際立っている。同社の動向、特に中国との関係について考えてみたい。(日本電動化研究所代表取締役・和田憲一郎)

 驚異の工場拡大

 テスラの工場拡大スピードは際立っている。2010年に米カリフォルニア州のフリーモント工場をスタートとし、14年にネバダ州に初めてギガファクトリー1を着工。17年にはギガファクトリー2として、ニューヨーク州バファローで太陽電池やモジュールを生産開始。海外では18年6月に上海のギガファクトリー3の建設を発表した。

 20年4~6月期決算でも上海工場の稼働が黒字化を支えた。昨年末には独ベルリン郊外にギガファクトリー4の建設を発表。そして、この7月には米テスサス州オースティン市にギガファクトリー5(主にEVサイバートラックやEVセミトラックを製造)を建設することも表明している。これら5つの工場が稼働すると、年間100万台を超えるEV生産能力を持つとされる。

 今後の展望はどうか。世界で最も販売が多いEV市場は中国。19年の新エネルギー車(NEV)販売台数は約120万台であり、その中EVは約80%を占める。中国では新型コロナの影響で、NEV販売に急ブレーキがかかったため、20年に終了予定であったEV補助金を2年間延長した。補助金規模の上限は年間200万台である。

 またNEV規制も引き続き実施しており、これまでの19年(10%)、20年(12%)、21年(14%)に対し、改訂処置として22年(16%)、23年(18%)が追記された。さらに、中国政府は、19年12月に21年から35年までの「新エネルギー車産業発展計画」の素案を公表した。これによれば、25年にEVやプラグインハイブリッド車(PHV)が新車販売に占める比率を25%と従来目標(20%)から引き上げている。現在は意見集約段階であり、最終的な発展計画は年内に発表される見込みだが、仮に中国の自動車販売台数が19年レベルの2600万台と仮定すると、25%は650万台に相当する。あと5年でどのようにしてNEVを伸展させるのであろうか。

 過去の歴史

 ここで、過去の歴史をひもといてみたい。中国でモータリゼーションの波が起きた1980年代、大小多くの自動車メーカーが乱立したが、改革開放政策により外国資本との合弁が初めて認可された。その結果、独大手フォルクスワーゲン(VW)と上海汽車集団による合弁会社として上海大衆汽車が設立された。今でもタクシーなどで多く見られる上海大衆の「サンタナ」をはじめ、多くの車種が生産されており、2019年の販売台数は約200万台に達している。また、上海汽車集団は、上海大衆のみならず、多くの外資と合弁会社を設立し、中国最大手の汽車集団に育っている。

 本来ならば、ポストコロナ時代は、地場自動車メーカーに復活の役割を担ってほしいであろう。しかし、地場自動車メーカーとEVベンチャー企業である拜騰汽車(バイトン)や上海蔚来汽車(NIO)なども事業化に苦しんでいる。

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